カルチャーショック

「ねぇ、ちょっと！」



ん？あたしのこと？

振り返ると、パートさん達の間で『１０３万さん』と呼ばれている（これはひねらんかったんやなぁ）事務員Ｋさんだった。

「はい」
「雇用保険入るよね？」
「え？…あぁ、はい。お願いします」
「じゃぁ、前の会社の書類持ってきてね」
「はい？」
「？前の会社でも入ってたんでしょ？」
「いいえ」
「？書類ないの？じゃぁ、源泉徴収の紙でもいいよ」
「源泉もなかったんです」
「？……働いてたんだよね？」
「あはは！働いてましたけど、社会保険入ってない会社やったんです」
「…ほんとにぃ…」



明らかに憐みの視線で見つめるＫさん



「じゃぁ、新規で手続きしといていいねんね。雇用保険は入っといた方がいいからね」
「はい。よろしくお願いします」





その後、人事部長がやってきた。

「けろろさん、元気ですか？」
「あ、はい、おかげさまで」
「けろろさんね、ここまで自転車で通勤してるでしょ？」
「はい」
「何分位かかりますか？」
「えっとぉ～、１５分位です」
「距離で言ったら何㎞位あるかなぁ？」
「え？…さぁ～…」
「今ね、地図で直線距離で測ったら、２．２㎞あったんですよ」
「はぁ」
「規則でね、通勤距離が２㎞以上ある場合は、交通費を支給しないといけないんですね。だから、けろろさんには交通費が支給されますので、よろしく」
「あぁぁぁありがとうございますぅぅ!!」




あぁ、何と言うことだろう
前の職場では、想像すらつかない待遇だ
私が感動に包まれていると、ここに来る前は某大企業にて派遣で働いていたらしいＳさんが
「何でぇ？当然のことやでぇ」だって。





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