2019年5月
エストデーラクラブハウスのリビングにマリウスとワルサーはいた。
ワルサー「次の試合に勝てば、リーグ初優勝だな」
マリウス「ああ、ドイツ3大DFと呼ばれていて、その中で優勝できていないのは俺だけだったからな。やっとかよ、って感じだ。これでオーナーの恩に報いることが少しはできるかと思うとホッとするぜ」
ワルサー「そうだな」
シーズン開幕前、マリウスはワルサー、ケルガン、イラゴリーと一緒にエストデーラの豪邸に招かれていた。そこでは、滅多に食べられないような豪華な料理が並んでいる。
エストデーラ「さあ、遠慮はいらんぞ。どんどん食べてくれたまえ、がはははは」
マリウスは豪華な料理が乗っている皿を見ながら、何か思い詰めていたような表情を浮かべていた。それに気付いたエストデーラが声を掛ける。
エストデーラ「どうしたんだね、マリウス君。早く食べんと料理が冷めてしまうぞ」
マリウス「・・・オーナー。毎年、こうして呼んで頂いているのに未だに恩返し、その優勝することが出来ず、何と言うか・・・申し訳ありません」
エストデーラは何か考えているような素振りを見せたが、すぐにいつもの調子に戻った。
エストデーラ「何を言っているのかね。あのずる賢いクラブに優勝をさらわれたことを気にしているのか。そんなことは忘れることだ。ああいう弱小クラブはな、悪運に恵まれてきただけだ。だが、それも昨年までの話だ。そんなことはいつまでも続かん。考えてもみたまえ、今季はイラゴリー君も来てくれたし、ワルサーとケルガンもいるんだぞ。これだけの戦力が揃えば、彼らの悪運も昨年までのことだ、そうだろ」
マリウス「オーナー・・・。よし、いいかみんな。今季こそ、いや、これからはSCベルリンがずっと優勝し続けるんだ。SCベルリンの黄金時代を築いていくぞ」
ケルガン「何を当たり前のことを言っている、当然だ。これだけの戦力が整っているんだ。我々はどのクラブにも負けない」
ケルガンが冷静に言い放つと、ワルサーとイラゴリーも賛同する。
ワルサー「そうだとも、勝負はこれからだ。今季こそ、私は得点王を獲るよ。約束しようじゃないか」
イラゴリー「まぁ、任せな。どのクラブのシュートも俺の反射神経で止めてやるさ」
4人は、それぞれの手を中央に合わせて、今季の優勝を誓った。
マリウス「本当に、ここまで来たな。もう優勝は間違いないだろうが、残り試合も全て勝つぞ」
ワルサー「ああ、当然だ」
マリウスとワルサーは固く握手をかわした。
そして、リーグ31節。SCベルリンは初優勝を懸けて、エストデーラスタジアムでブレーメンと対戦する。
マリウス(オーナー、あなたの目の前で優勝の瞬間を届けてみせる)
一方、マンシャフトは来季に備えて、ヘンドリク・ハーネと今季引退が決まっているパウル・フライアーをベンチからも外し、アブラムシックとラファエル・レーマーをベンチに入れた。
1-1でアディショナルタイムにポドルスキーが抜け出してゴールを決めた。ポドルスキーは今季初ゴール。
ドイツ1部リーグ第31節
カイザースラウテルン 1-2 マンシャフト
(得点) 51分 ベンヤミン・ベルク(マンシャフト)
64分 フーラー(カイザースラウテルン)PK
90分 ポドルスキー(マンシャフト)
【基本情報】 来場者数 35844人
【収入】 勝利ボーナス 3000万
【合計】 3000万
【資本金】 188億1933万9200円
その一方でエストデーラスタジアムでは。
実況「アディショナルタイムに入りました。試合は2-2の同点。このままいけば、SCベルリンのリーグ初優勝が決まります」
そして、試合終了のホイッスルが鳴った。この瞬間、SCベルリンのリーグ優勝が決まったのである。喜びのあまり抱き合うワルサーとマリウス。その周りにはケルガンらがいた。
マリウスは優勝カップを両手で掲げて、エストデーラの方を見る。
マリウス(オーナー、やりましたよ。俺は、あんたのクラブに来て良かったと思ってるぜ)