博多港に面した小高い丘陵の上に、西公園があります。以前このブログでもご紹介しています。観光案内によりますと、この公園は古くは「荒津山」と呼ばれ、福岡市内、博多湾、志賀島を一望できる高台です。明治14年に自然の丘陵と眺望、渓谷を活かした公園として整備されといいますから、既に150年もの歴史があるわけです。マツ・シイ・カシなどの自然林にサクラ・ツツジ等を植栽して風致公園となり、春は「 さくら名所100選」にも選ばれた約1,300本のサクラが咲き、秋にはモミジ、イチョウ等が色づく、都心とは思えないほどしっとりとした散策路を有する県民憩いの公園であると観光案内には記されています。公園中央入口の正面には福岡藩初代藩主黒田長政を祀った「光雲神社(てるもじんじゃ)」があります。神社の手前には上の写真の「平野國臣」の銅像があります。平野國臣は福岡藩出身の数少ない尊攘運動の志士でした。兵庫で討幕の挙兵(生野の変)をして失敗し京都の六角獄に幽閉されました。元治元年(1860年)に長州軍が京都に攻め込んで京都が大火が起こると(禁門の変)、火災による逃亡を恐れた幕府役人に37歳の若さで処刑されました。福岡藩は50万石近い大藩でありながら、幕末に尊王派にも佐幕派にもならず、ほとんど活動しなかった中で平野が突出して特異な活躍をしていたということです。この人物の伝記を読むと、平安時代の烏帽子直垂を着て往来を得意そうに歩くなど、現代にもいそうな、ちょっととんがった若者といった面もある一方で、福岡藩が全く動かない中で、たった一人で誰の助けもない中で尊攘運動に奔走する恐ろしいほどのエネルギーの持ち主でもあり、やはり歴史に名を残す人は何かが違うのだと思いました。
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