博多住吉通信(旧六本松通信)

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氷衛星の世界-エウロパ

2024年08月03日 | 宇宙開発・天文
 エウロパは、イタリアのガリレオ・ガリレイによって1610年1月に発見された木星の四大衛星イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの一つです。発見者のガリレオを記念して、この4つの衛星は「ガリレオ衛星」とも呼ばれています。エウロパは木星から約67万キロ離れた場所を3日半かけて公転しています。直径は約3,100キロで地球の月より少し小さいです。表面の温度はマイナス170℃程度と、恐ろしく寒いです。酸素を主成分とした極めて薄い大気があるそうです。
 このエウロパには米国NASAの探査機、パイオニア1号と2号、ボイジャー1号と2号がそれぞれ、1970年代の前半と後半にフライバイ観測を行い、1995年から2003年までは同ガリレオ探査機が継続的な木星周回観測を行い、2024年現在は同ジュノー探査機が、こちらも継続的な周回観測を行っています。上の写真はガリレオ探査機が撮影したエウロパ表面の写真です(NASAのホームページから引用させていただきました)。白いのっぺりとした表面に茶色い細い筋が縦横に走っています。エウロパのような小さな天体は、大気が薄く表面にまともに落下してくる隕石によるクレーターが沢山あるはず(地球の月のように)なのですが、ほとんど見当たりません。これは多くの科学者にとって不思議なことでした。その理由として考えられた仮説は、エウロパの表面を覆う厚い氷の層の下に液体の水の「海」があって、時々表面の氷が入れ替わることでクレーターが消滅するのではないかということでした。それにしても極寒のエウロパに、なぜ液体の水の海があるのでしょうか?おそらくエウロパには地熱があって、その地熱によって地下の氷が溶かされて液体の海ができると考えられました。地熱の源は主星の木星の強大な重力によって生ずる潮汐力によるものと考えられています。2012年にNASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影したエウロパの画像に、エウロパの南極付近から噴出している水蒸気と思われる噴出物が見つかりました。この噴出物の高さは表面から 200 km にも及び、地球の最高峰エベレスト山の20倍を超える高さにまで達しているそうです。これによってエウロパの地下に液体の水の海があることがほぼ確実になったと考えられています。この地下の海を「内部海」と言います。茶色い筋は海水に含まれている硫酸マグネシウムなどの無機塩類が表面で宇宙から飛来する強い放射線にさらされて茶色になったと考えられています(他に硫黄化合物や有機化合物も候補に挙げられています)。エウロパ表面の氷の厚さはおよそ 10〜30 km であると推定され、その下の液体の海は表面からおよそ 100 km の深さにまで存在しているという可能性が示唆されています。これが本当なら、地球の海の最も深いマリアナ海溝の深さの10倍近い深さの海があることになり、これは地球の海の体積の2〜3倍に相当する量の海水が存在することになります。(次回に続きます)
参考文献:長沼毅『生命の星・エウロパ』(NHKブックス 2004年)

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