NASAの発表によりますと、火星を自走探査するパーサビュアランスに搭載された「MOXIE」という名のトースターサイズの実験機器が、火星の大気中の二酸化炭素から酸素を抽出することに成功したそうです。MOXIEは1時間で約5.4gの酸素を製造したそうです(上のグラフをご参照ください)。この量は人間の10分間分の呼吸に必要な量です。大した量ではありませんが、これは人類が歴史上初めて、地球以外の惑星の資源を利用して人間の生命維持に必要な物質を生産することに成功したことを意味します。こういうことはSF小説の中では描かれてきましたが、本当に実現可能であることを実証した初めての試みでした。装置の規模を拡大すれば太陽エネルギーと火星大気からもっと多くの酸素を生産できることでしょう。また火星には、かなり大量の水の氷があることも判明していますので、水を分解して酸素と水素を生産することも可能になるでしょう。酸素と水素はロケットの燃料になります。火星への有人飛行は、地球・火星間の往復用の燃料を地球から全量積載しないといけないとすると重量が重すぎて一度に地球から打ち上げることが困難ですし、費用も非現実的な金額になってしまいます。しかし火星でロケット燃料と生命維持用の資源を入手できれば、火星への有人飛行はぐっと現実的になります。火星ヘリコプター・インジュニティの飛行成功に続く素晴らしい試みでした。
※上のグラフはNASAのホームページから引用させていただきました。
こちらです。⇒ https://mars.nasa.gov/news/8926/nasas-perseverance-mars-rover-extracts-first-oxygen-from-red-planet/