
お盆休みの時に上の映画『バード』(クリント・イーストウッド監督・アメリカ・1988年)を見ました。20世紀モダンジャズの父と呼ばれるチャーリー・パーカーの余りにも短すぎる生涯を描いた映画です。バードとはチャーリー・パーカーの愛称で、その名を冠したジャズクラブ「バードランド」がニューヨークにあることは有名です。彼は若干16歳にしてカウント・ベイシー楽団の演奏に即興で飛び入り演奏(ジャムセッションと呼ばれるものですね)するという冒険をします。しかしさすがに16歳の彼の力量不足は否めず、同楽団ドラムのジョー・ジョーンズにシンバルを足元にひょいと投げつけられるという屈辱を受け、ほうほうに退散することになります。映画では、このあと彼は死に物狂いで精進するということになっています。またこの出来事は生涯、彼のトラウマになったという描き方をされていました(実際には、しばらく不貞腐れていたという説もあります)。
この映画を見てまもなく、8月20日、世田谷区教育委員会主催の『日野皓正 presents "Jazz for Kids"』において、日野皓正氏が、指導に従わずに勝手に即興演奏をする中学生に体罰を加える事件が起こりました。「週刊文春」で報じられたので、かなり社会的に騒がれたと思います。
詳細はこちらです。⇒ http://www.huffingtonpost.jp/2017/09/04/why-it-is-wrong_a_23196624/
日野氏が体罰を加えた中学生が即興演奏をやめようとせず、スティックを取り上げられても演奏をやめようとしなかったという記事を読んで、私は真っ先に上記のチャーリー・パーカーの逸話が頭に浮かびました。この中学生も「バード」のような巨人に将来育つのか分かりませんが、只者ではないような気がしました。
しかしfacebookなどを見ていると意外と日野氏の体罰を擁護する記事が多いので気になりました。いや、いや、いや、日野氏ほどの社会的影響力の大きな著名人がこんなことをやってはだめだろうと私は思うのですが・・・