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博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

未開と文明

2011年05月08日 | 時事
 既に数多く報道されていますが、アメリカ政府によってアルカイダの指導者ビン・ラディン容疑者が射殺されましたが、毎日新聞の報道によると、米軍襲撃部隊は容疑者に「ジェロニモ」という暗号名を付けていたそうです。

ソースです ⇒
http://mainichi.jp/select/world/america/news/20110504k0000m030098000c.html

 私はこのことにびっくりしました。ジェロニモ(Geronimo、本名:Goyathlay、1829年6月16日 - 1909年2月17日)はネイティブアメリカンのアパッチ族の一員で対白人抵抗戦「アパッチ戦争」を戦った歴史上の人物です。映画や小説でも有名で日本でも良く知られた人物です。1858年に非武装・無抵抗の妻、老母、3人の幼い子供達と130人の同胞をメキシコ軍に虐殺されて以降、1886年に力尽きて降伏するまで30年近くメキシコ政府とアメリカ政府を相手に抵抗を続けた人物です。わずか30人の仲間で5000人の米軍部隊と交戦を続けたというのですから大変な人物だったことは確かです。
 今回の作戦にこの人物の名前を使ったということは、アメリカ政府がこの作戦にどういう価値観で臨んだかが察知できます。当時のアメリカ政府にとってのアパッチ戦争は「野蛮」で「未開」な「インディアン」の白人への襲撃の排除で、抵抗するアパッチ族は容赦なく討伐され、抵抗できない人々は居留地に押し込められ、それが正義だとされました。イスラム原理主義のテロ肯定勢力にも同じ価値観を投影しているのではないかと思われても仕方がないでしょう。21世紀になってもアメリカ政府はまだそういう価値観でいるのかと。
 別の報道ではアパッチ族がオバマ大統領に、ジェロニモの名前を使用したことを抗議し謝罪を要求したそうです。これに対してアメリカ政府はジェロニモは無作為に抽出した単語で本人を侮辱する意図は無かったと釈明したそうです。ちょっと信じがたい話ですが、真実だとしても抽出されたジェロニモの名前の使用にアメリカ政府関係者の誰も異を唱えなかったということが驚きです。特に非白人のオバマ大統領がそれを認めたというのはどういうことなのでしょうか。まあ大統領が暗号名の決定過程に参画する機会は無かったのでしょうが、それでも誰も問題視しなかったという事実は明確です。超大国で最先進国であるはずのアメリカ政府がこのようなスタンスでは未だに19世紀の価値観のまま進歩が無いとしか評価しようがないと思います。
 もう一つ別の見方もできます。ジェロニモという名前はアメリカ人の間で勇敢に戦うことの代名詞になっていて、第二次大戦中に危険な空挺降下を行う米兵が気合を入れるために輸送機から飛び降りる際にジェロニモの名を叫んだという逸話があるそうです。また米軍の攻撃用ヘリコプターには「アパッチ」という名前が付けられています。アメリカ人はアパッチの人々を「未開」で「野蛮」と蔑視しつつも彼らの勇敢さに一定畏敬の念を持っていたということでもあります。実際ジェロニモという「あだな」は、雨霰と降り注ぐ弾丸の中を平然とナイフ1本で戦う様子に驚いたメキシコ兵が付けたものだそうです。ビン・ラディン容疑者にもそういう観点で付けた暗号名かもしれません。本当の所どちらなのか知りたいものです。

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