
太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブは、太陽表面に最も接近した時の太陽周回速度は時速70万キロを超えるそうです。このスピードだと、約50分で地球から月に到達できることになります。想像を絶するスピードで人類が作り出した最高速度です。このようなスピードになるのは強大な太陽の重力の影響に対抗して太陽周回軌道を維持するためです。これだけ苦労して太陽を探査する意義は何でしょうか?昨日このブログに書きましたように太陽コロナの超高温の謎を解明することがあります。それに加えて太陽の至近距離で太陽風を直接探査することです。太陽風とは、太陽から吹き出す極めて高温な電離した粒子(プラズマ)のことで、前述のコロナが太陽周囲の宇宙空間に噴き出したものです。地球の南北両極で発生するオーロラの原因です。太陽活動が活発になると太陽風も強くなり、強い太陽風は地球上の無線通信システムや軌道上の衛星や国際宇宙ステーションに深刻な悪影響を及ぼすこともあります。そのため現代のような高度情報化社会では、太陽風の研究は極めて重要です。1958年に宇宙物理学者のユージン・パーカー博士が理論的にその存在を予測し、その4年後にNASAの金星探査機マリナー2号が宇宙空間で太陽風を実際に観測し、その存在が実証されました。ユージン・パーカー博士の功績を記念して、今回の太陽探査機はパーカー・ソーラー・プローブと命名されたのでした。パーカー博士は現在91歳で存命で、8月12日のパーカー・ソーラー・プローブ打ち上げをケープカナベラル基地で見学されたそうです。ちなみに存命者の氏名を探査機の記念名称にしたのは今回が初めてだそうです。
こちらのNASAのホームページに打ち上げを見学するパーカー博士の写真が掲載されています。本当に嬉しそうです。⇒ https://blogs.nasa.gov/parkersolarprobe/2018/08/
上の写真は、今年1月にジョンズ・ホプキンズ大学応用物理学研究所で、組み立て調整中のパーカー・ソーラー・プローブの本体です。 こちらのNASAのホームページから引用させていただきました。⇒ https://blogs.nasa.gov/parkersolarprobe/2018/01/