長 芋
郷里から長芋が送られてきた。信州山形村のブランドである。
山形村は,全国でも珍しくなった「村」で,わたしの郷里旧和田村と境を接している。そのあたりは畑作地帯で,「大原(オオッパラ)」と呼ばれ,梓川扇状地の扇央に当たり,地味豊かで耕土が深いため,長芋の生産に好適である。山形村産長芋は全国に名をとどろかせている。
この送り主は,わたしが1981,2年にパラグアイに赴任した時のチームリーダー,元長野県農業試験場長M・T氏の奥さん,R夫人である。わたしの家族が,82年の3月に単身赴任のわたしのところに遊びに来た時,やはり単身赴任の夫君を訪ねて,一緒にパラグアイにお出でになった。以来,家族ぐるみのお付き合いで,わたしがお盆で郷里に帰るたびにお宅にお邪魔していたが,T氏の体調がすぐれなくなってからこの訪問は沙汰止みになった。しかし,R夫人はご夫君がお亡くなりになった後も,毎年暮れ近くなると長芋を送ってくださり,その返礼にわたしが蓮根を送るのが習慣になっていた。
一昨日,その長芋が到着し,蓮根を送る手配をして,お礼の電話をかけたところが,留守電になっていた。翌日かけ直したが同様で,お礼の文をしたためて,ファックスで送った。
昨夜,R夫人のお嬢さんからお電話があり,夫人がこの15日にお亡くなりになったのを知らされ,愕然とした。長芋はご遺言の形でお嬢さんが聞いておられて,送ってくださったとのことだった。図らずも,こちらからの蓮根はご霊前に供えていただくことになった。
お歳は90歳を超えておられたと思う。明るい方で,旅行中子供たちがすっかりなつき,一緒にお宅に伺ったこともある。朗らかなお声がもう聞けなくなったのが残念である。
心からご冥福をお祈りする。
ヤーコンの花
11月23日阿見町にて撮影
今年はまだ霜が降りず,ヤーコンがたくさん花を着けた。ヤーコンはヒマワリと同じキク科に属するが,花の着き方はあべこべで,真ん中の筒状花が雄花で,まわりの舌状花が雌花である。