ヤーコンを植え付けた。昨年は14株育てたが,畑の縮小に伴い今年は6株にした。これでわが家の必要量は十分賄える。
アンデス高地のインディオが喉の渇きを止めるために果物がわりに食していたこの作物は,ニュージーランド経由で1984年業者によって日本にもたらされ,茨城大学と新潟大学の共同研究で,塊根(いも)がデンプンを含まず,フルクトオリゴ糖の含量がどの作物よりも高いことが分かってにわかに脚光を浴びた。農水省も新規作物としてヤーコンに着目し,日本独自の品種改良に着手するとともに,女子栄養大学と共同でヤーコン料理集を作り,普及につとめた。また,全薬工業は,ヤーコンの葉の熱水抽出物に食後血糖値の上昇を抑える効果があることを発見し,糖尿病予防の機能性飲料ヤーコン茶を開発している。(ネット,薬局で購入可能)
わたしは茨城大学に赴任してヤーコンに遭遇し,研究リーダーの月橋教授のお誘いを受け,ヤーコン研究会やその後身のNPO法人日本ヤーコン協会のお手伝いをし,ヤーコンの葉片の組織培養によるクローン苗作成の研究を行った。また,研究交流でペルーを2回訪れている。
こうした研究成果は国内外で注目を浴び,テレビで紹介されるなどしてブームを呼んだが,消費者の受けが今一で,このブームはしぼんできている。それでも思いがけないところでヤーコンにお目にかかることがあり,それなりの位置を占めて日本に定着したようである。
ヤーコンは晩秋から冬にかけて収穫するので,その季節になるとネットでも塊根が販売されている。調理方法もネットで検索できる。わが家では,サラダ,煮物,揚げ物,漬物にして,そのシャキシャキ感を楽しんでいる。整腸作用,免疫力向上の効果もあるので,もっと多くの方に食べていただければ嬉しいのだが。
マチュピチュ遺跡に自生するヤーコン 2015年撮影
ペルーのヤーコン栽培農家 2005年撮影
試験管内で葉片を培養して得られたヤーコン(原図)