朝,畑に行こうと外出したが,北風の寒さに尻尾を巻いて家に戻った。こんな日はおとなしくしているに限ると,テレビで映画を観ることにした。先日のブログに書いたハンク・アーロンのことから思い出して,ビデオに撮りためてあったジャッキー・ロビンソンを主人公にした『世界を変えた男』を観た。
1946年に,ブルックリンドジャースのオーナー,ブランチ・リッキーの決断によって,ニグロリーグから3Aにスカウトされ,翌年に黒人初の大リーガーとして登録されたジャッキー・ロビンソンの,リーグ1年目の軌跡が描かれている。ハリウッド映画らしく分かりやすい筋書きだが,差別と迫害に対し挑発に乗らず,ひたすら忍耐を貫き,彼に続く黒人大リーガーへの道を切り開いたジャッキーの姿がよく描かれている。映画を観終わって浮かんだのは,「人の尊厳」という言葉だった。ジャッキー・ロビンソンは野球殿堂入りを果たし,彼の背番号42はプロからアマチュアに至るまで,全米の野球チームで永久欠番になっているそうだ。
ジャッキーでもう一つ思い浮かべるのはロバート・B・パーカー 著の『ダブルプレー』 (早川書房 2005年 Robert B. Parker. Double Play. 2004)である。このハードボイルドの巨匠は,フィクションの白人,太平洋戦争生き残りの海兵隊員パークをジャッキーのボディーガードとして登場させ,白人至上主義者やマフィアによる襲撃との攻防を描いている。著者のヒューマニズムが随所ににじみ出ている佳作である。今は亡き菊池光氏による訳文は,歯切れがよく,原文を彷彿とさせる。
選抜高校野球大会の出場校が発表された。地元茨城からは昨年亡くなった知将,木内幸男氏がかつて率いた常総学院が,故郷長野県からは初出場の上田西高校がそれぞれ選ばれている。球児たちがコロナにおかされることなく,健闘されんことを祈る。