今日1月12日がアガサ・クリスティーの命日であることをネットで知った。1976年に,エルキュール・ポアロの後を追って,このイギリスミステリー界の巨峰は没している。
クリスティーを知ったのは高校2年の時だった。期末試験の勉強で友人の家に泊まり込んだ時,書棚に『そして誰もいなくなった』を見つけ,読み始めたら止まらなくなって徹夜した。翌日の物理の試験は惨憺たる結果で,先生から職員室に呼ばれた。これがきっかけで,本格的な推理小説への興味が芽生えた。
アガサ・クリスティーの著書は多分30冊以上読んでいるだろう。妙に印象に残っているのが『シタフォードの秘密』である。恐らくクリスティーの作品で初めて謎解きに成功したからだろう。ポアロでもミス・マーブルでもない若い女性が探偵役で,文中何気なく描写されていたスキーが鍵だった。
エジプトに観光旅行に行った時,『ナイル殺人事件』の舞台にもなったオールドカタラタホテルに宿泊した。チャーチルと並んで,このホテルにはクリスティーが滞在して執筆した部屋が記念に残されている。フロントでその所在を確かめようとしたら,すでに予約が入っているといわれ,その部屋の前まで行きたいだけといって教えてもらった。そのフロアに行くエレベーターが旧式の手動式だったのが楽しかった。
アガサ・クリスティーは現在のイギリスミステリー界にも大きな影響を与えているようだ。2014年に亡くなった女流作家,P・D・ジェイムズは,その作品の中で,しばしばクリスティーに言及しているし,数々の賞に輝いたホロヴィッツの『カササギ殺人事件』はクリスティーへのオマージュである。