YouTubeで映画”The Mission”を久しぶりに観た。この映画は1756年に起きたグアラニー戦争を題材にしている。わたしは,パラグアイ赴任中に,イグアスの滝やイエズス会の遺跡を何回も訪れているので,この映画に特別の感慨を抱いている。
イグアスの滝周辺の先住民,グアラニー族へのイエズス会の伝道活動によって築かれた豊かな楽園が,奴隷売買を是認するポルトガル領に組み込まれたため,軍の攻撃によって破壊される過程が描かれている。随所に登場するイグアスの滝の水量と轟音は圧巻である。非暴力を貫き,信仰の力をもって立ち向かおうと,軍勢の銃口の前に十字架を捧げながら身をさらすガブリエル神父の姿は感動的である。
映画の冒頭で,ミッションに向かうガブリエル神父が,インディオの心に届かせようと吹く,オーボエの調べが「ガブリエルのオーボエ」である。
昨年7月に亡くなった映画音楽の巨匠,エンニオ・モリコーネの作曲によるこの曲は,オーケストラ,チェロ,バイオリン,フルートなど様々な編曲で世界中で演奏されている。中でも,イタリア在住の日本人バイオリニスト,横山令奈(Leina Yokoyama)さんが,イタリアで真っ先に新型コロナウイルスの感染が広がったクレモナの街で,治療に格闘する関係者を励ますために,病院の屋上で演奏する姿と音色は圧倒的である。わたしはYouTubeで何回も視聴し,心を癒されている。
イグアスの滝,2002年に撮影。
パラグアイにあるイエズス会の遺跡。世界遺産に登録されている。2001年撮影。