スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

税理士会研修と再会

2012-07-23 18:28:51 | Weblog
先週の水曜日は
名古屋税理士会主催の
平成24年度第一回全国統一研修でした。

今回のテーマは
「消費税実務の留意点」です。

平成23年に
消費税について大きな改正があったことで
今回の研修テーマになったものと思われます。

午前中のテーマは
「個人事業者の消費税と所得税」

所得税の取扱いと消費税の取扱いの違いを
法令、通達、判例を踏まえて解説するという内容でした。

お昼休憩をはさんで
午後のテーマは
「事業者免税店制度及び95%ルールの改正の詳解と実務対応」

最初に
平成23年度の法改正の全体像についての説明でしたが

平成23年度は震災の影響等により
当初発表されていた税制改正大綱(たたき台)が
次のように分割して成立したり、一部積み残りされたりと

かなりイレギュラーな形になっていますので
大変わかりにくくなっています。

1.税制整備法(6月改正)により成立したもの
2.税制構築法(12月改正)により成立したもの
3.平成24年度改正により成立したもの
4.社会保障・税一体改革へ引継ぎされたもの
5.積み残し又は見送りされたもの


消費税については
「1.税制整備法(6月改正)」により
改正法が成立しましたが
その中に大きな改正が2つありました。

まず一つ目が
「事業者免税点制度の見直し」です。

免税点についての歴史的な流れを見ると

消費税は制度ができた平成元年から平成16年までは
前々期(前々年)の課税売上高が
3000万円を超えているときに納税義務者になる、
というシステムでしたが、

平成17年からは3000万円の免税点のラインが
1000万円まで引き下げられました。


この消費税の免税点について
今回の改正により
もう一段階厳しくなりました。

前々期(前々年)の課税売上が1000万円以下でも
前期(前年)の上半期6ヶ月間の課税売上が1000万円超の場合は
当期(当年)から消費税の納税義務者になる、というものです。


例えば設立したばかりの会社の場合

今までは設立後2期目までは消費税が免税で
3期目から課税されるという形だったのが

設立1期目の上半期で
売上が1000万円超の場合には

2期目から消費税の納税義務者に
なってしまうわけです。


ただし、設立第1期が7ヶ月以下の場合は
第1期の上半期の課税売上が1000万円超でも
2期目から課税されることはなく
従来通り3期目からの課税になります。


なお、事業者によっては
上半期の売上が必ず把握できるとは限らないため
売上に代えて上半期の給与額で判定することも
認められています。


この改正は
平成25年以後開始する事業年度から適用されます。



二つ目が
「95%ルールの見直し」です。

従来、
消費税の課税売上割合が95%以上の場合は

課税仕入れに係る消費税額を
全額仕入税額控除することができましたが、

改正により

課税売上が5億円を超える場合には
課税売上割合が95%以上でも
全額仕入税額控除することができなくなりました。


仕入税額控除には

(1)一括比例配分方式

(2)個別対応方式

と2つの方法があります。


(1)一括比例配分方式は

  「課税仕入×課税売上割合」で仕入税額控除する金額を
   計算する方法で


(2)個別対応方式は

   課税仕入を
   イ.課税売上に対応するもの
   ロ.非課税売上に対応するもの
   ハ.共通対応のもの
   に区分し
   「イ+ハ×課税売上割合」で計算した金額を
   仕入税額控除とする方法です。


このうち
どちらか有利になる方を選択すればいいのですが

(1)一括比例配分方式は2年間継続適用しなければならない

(2)個別対応方式はイ・ロ・ハの区分が結構面倒

という悩ましい特徴がそれぞれあります。

この「95%ルールの見直し」は
平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

どちらの改正も
税理士実務で非常に重要度の高い部分のため
しっかりと理解しておかなければならないですね。



今回の研修会では偶然
受験仲間で元同僚の先生と
十年くらい前の元受講生の方に
久しぶりの再会をしました。

同じ週の金曜日も
別の元受講生の方2人と
池下で会食しました。

前は講師と受講生という関係でしたが
今は同業者として
いろいろ情報交換できよかったです。

私の授業を受けた方が
税理士として今立派に仕事をしているのを見ると
講師冥利に尽きますね。



税理士 名古屋/名古屋の税理士法人スプラウト

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