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宮西達也作品を読み解く(1)

2023年10月11日 | 絵本
 来週水曜に絵本作家宮西達也さんを招いて、小学生向けの「絵本ライブ」を予定している。超のつく有名人、売れっ子といってよいだろう。本館にも70冊ほどの作品が揃っている。個人的に好きな「ニャーゴ」「やきいもとおにぎり」は読み込んでいるが、他作品に目を向ける意味で少し俯瞰的に作品群を見たい。


 まずは「おとうさんはウルトラマン」シリーズ。これは6冊揃っている。1996年発刊の「おとうさんはウルトラマン」が起点だ。家族・父親・母親像を描くモチーフとしてウルトラマンを充てたというより、ウルトラマンを一個の生物としてとらえ想像を拡げて人間らしさ、素敵さを適用させたと言ってよくないか。



 扉のことばはこう記されている。
ウルトラマンは、目には見えないけれど
確かなものをいつも追いかけていた。
勇気と希望を、優しさや思いやりを、
そして愛を…


 スーパーヒーローにも弱さがあり、いい加減さも垣間見えてしまう。それらも含めて「かっこいい」という考えを根付かせる象徴がウルトラマンだ。最終的には一生懸命さの価値観につながるように感じた。そして、もう一つは「真の強さ」という点か。典型的なのは「せいぎのみかた」シリーズ2冊にも表れている。


 「ドラフラ星人の巻」では、見た目や言葉に左右される人間の姿が描かれる。「ワンダーマンの巻」では、守る意味とは何を指すのかが問われている。いわば「戦いの本質」とも言える。対比される存在が出てくる二つの物語は、可視化された即時的・即効的な成果にばかり期待する、今の社会への批判に違いない。


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