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「与太郎」極私的解釈

2022年09月04日 | 雑記帳
 土曜日午後、隣市図書館主催の「楽しい古典落語の世界」という講座に参加した。実際は講座ではなく高座で、地元出身の二つ目落語家にもう一人ゲストがきて、計四席の噺を聴いた。今年になって落語会を二度キャンセルせざるを得なかったので久々に楽しかった。出来具合は二つ目相応…と生意気にも評価しよう。



 さて「講座」なので、最後に質疑応答があった。落語家相手に手が挙がるかなあと思っていたら、即元気よく訊いた方がいた。その質問が面白い。「与太郎ってどういう人ですか?」。これには壇上の噺家さんもやや戸惑いを見せたようだ。長屋噺などによく登場する与太郎…単純に言えば「馬鹿者」を指しているわけだ。

 
 噺家も「立川談志は独特の解釈もしているが、ふつうはバカということで…」と説明した。聞いていて「与太郎」と言えば…我が町内にある「S田家」が思い浮かんだ。かつて県内一の高額納税者だったその家は「与之助」で通っているが「与太郎」という当主もいた。意味は違えど、俄かにその語が気になってきた。


 電子辞書には「よたろう【与太郎】 ①知恵の足りない者、おろか者…②うそつき、でたらめを言う者…」と三つともほぼ同様だ。しかしなぜ「与」なのか。これは「あたえる」という意味の他に「くみする」があるから、そちらのイメージか。そうすれば、政権「与党」などとはまさしく「与して太くする」党だろう。


 と勝手に妄想したが、実は「よた」が「でたらめ」を意味していて、「よたる」という動詞があり「よた者」「よた郎」となる。辞書を調べると「新明解国語」に唯一「与太は借字」とある。何故その字か。落語愛好者として極私的に解釈すれば「周囲にでたらめ、いいかげんさを与え、生を太くする」と見立てたい。


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