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「実現可能性」だけでは語れない

2024年07月11日 | 読書
 Re58『闘え!ミス・パーフェクト』(横関大 幻冬舎)。『ミス・パーフェクトが行く!』を一昨年読んで、それなりのエンタメ感を味わえたので続編も読む。総理の隠し子という元女性キャリア官僚が、次々と難問を解決していく設定。今回は冒頭の第一問が「限界集落である某村を活性化させなさい」。これは…切実な現実(笑)。


 本編通りに、もはや「集落」ではなく「限界自治体」である。結末は、自然を活かす大胆な事業提案それは高齢者の雇用も促し、なるほどと思うが、誰しも感じるように要は大胆な行動力。TVドラマ「ナポレオンの村」を彷彿させたが、それを夢物語としないための二の手、三の手を、「現実」が作り出さねばならない




 先月3日の朝刊一面の「『希望』最下位、どうする秋田」という大見出しが頭に残っていたので、関連の新書を読んでみた。Re59『希望学』(玄田有史 中公新書クラレ)。もやもやした気持ちで読み始めながら、まず当たり前のことに気づかされた一節がある。「希望とは、文字通りに読めば、希にしか叶わない望みである


 日常的に使う語とはニュアンスが違う気がする。従って、ずいぶんと幅、範囲が広いと言ってよい。つまり個人的感覚に差があるわけだが、学問とするからには「言語化」「類型化」が必要で、その点が興味深い。類型化の切り口として、著者は「実現可能性」と「個人の考えや行動への影響」の二つを挙げる。頷ける。


 ある事柄に対して実現する可能性が高いかどうか(その程度をどこに置くかを含めて)。そして、伴う動きをどのような手順、頻度で行い、結果をどう受け止めるか。その分析を行うことで、個人の私的事項から組織や団体の動静などが改善できるのではないか。そう思わせる。6章、7章の対談が面白くわかりやすい。