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現場を「走り」抜く

2009年05月26日 | 読書
 『野中信行のブログ教師塾~「現場」を生き抜くということ~』(学事出版)を著者の野中先生より送っていただいた。感激である。

 昨年3月までのブログファンとして(もちろん今も)、ほとんど目にした文章ではあるのだが、改めて今読み直してみて痛感することのなんと多いことか。
 そしてまた、自分の薄っぺらな読みで見逃していたことも結構あるなあ、とそんなことを感じた。

 「野中先生はやはりマラソンランナーだ」…そういう断定をしてみると、いろいろな言葉と辻褄があってくるなあと感じた。安易な比喩とは言えないだろう。

 「目標をもつこと」、そして営みに関して「勘所を逃さない」ことの大切さがまず強調されている。
 スタートしたら、とにかく「迷うことなく走りだす」こと。
 そして「一定の長さ(期間)を走りきる」ことが当面のねらいとなる。
 ただし「無理はしない」「気分転換を大切にする」ことが長続きさせるためのポイントといえよう。
 長い道のりの争いと見れば、「タイミングを逃さない」ということもとても大切になる。
 レース全体を俯瞰して「往路」と「復路」の意味づけをしっかり持っていなければならない。定めた目標に向かっての「往路」のスピードと歩幅は、「復路」のそれとは明らかに違うことも自覚しなくてはならない。

 もちろんマラソンを走りぬく心肺能力の高さや持久力は、手を抜かず誤魔化さずに努力した者しか得られないだろう。そう考えると私など本当に恥じ入るばかりである。
 現役にこだわる工藤公康投手のインタビュー記事が思い出された。
 「パズルを完成させるための大事なピース」…それに早く気づく投手は長続きするという。
 鍵をにぎるピースは何か、それをどこで身につけたか…野中先生の世代が持ち得た感覚、そして走ることを続けてきたことと無縁とはいえまい。

 常に「現場」にいて目の前の子どもに正対してきたからこその文章が満載だ。そして、絶えず「周囲」…それは自分の身の回りから国の動向まで含めてのことだ…と照らしあわせ考えを紡いできた跡がくっきりとわかる。

 力みなくバランスのとれたフォームで駆けている野中先生の姿がイメージできる、いい本だ。

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