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アイディアを求める楽しさを

2019年02月26日 | 読書
 今となっては恥ずかしいが「アイディアマラソン」なるものへ挑戦したことがある。発想をノートに記していく単純な方法ではあったが、案の定一週間ほどでギブアップ。それに限らず試したことも多いが、確実にモノにできた実感がない。教育実践、学校経営、また暮らしに新しさを求めてはきたが、道遠しだった。


2019読了21
 『アイディアのレッスン』(外山滋比古  ちくま文庫)



 文庫の裏表紙にはこんな惹句が書かれてあった。「『思考の整理学』実践編」。かの名著はもちろん読んでいるが、忘却の彼方でもあるので、直接的に思い起こされることはなかった。しかし発想法的なことに興味のある者にとっては、非常に参考になる一冊だ。「基本」「ルール」「つくり方」の構成、読みやすさも一品だ。


 「アイディアとはなにか」を考える第一章を、問答形式で進めていること自体優れたアイディアだ。しかも、敬体文ゆえにじっくりと染み入ってくる印象がある。ものにこだわり、ものをありがたがる日本人の思考には、情報の価値を軽くみる傾向があり、それが創造力の軽視につながっているという論は納得した。

 
 「プロ的アイディア」「アマ的アイディア」という表現に驚く。その違いは仕事や経済に関わっていが、筆者は「アマチュアスポーツ的なアイディアの重要性を見落とすべきではない」と言う。つまり実際的利益ではなく考え出すプロセスを喜ばないと、発想や創造性は豊かにならない。偉人たちの生き様を思い起こせ。


 第三章に書かれた「つくり方」は、ブレイン・ストーミングや延長線・慣性の法則等10項目が提示される。自分の拙いアイディア作りも少し当てはまるものがあった。人によって向き不向きはあろうが、いずれこの10項目は大きなヒントになる。知の巨人自ら実践しているアイディアを求める人生はとても楽しそうだ。