朝から各学年より提出された通知表をチェックしていて,少し休憩をしたときに「ああ,そうだった」と思い出したことがあった。ちょうど20年前,この学校に赴任した,ちょうどこの時期だ。学級担任なしの教務主任という役目を仰せつかっていた。T校長先生が「ちょっとこっちへ…」と校長室から呼んでいる。
そこには,テーブルの上に重ねられた通知表が15学級分あった。T校長は「勉強だと思って,この所見をチェックしてみたら」と言われる。当然,ご自分も点検し付箋を貼っているわけだが,それらを再度見直してみろ,ということらしい。それはちょっと…と思ったが,尻込みもいやだし,興味もあって取りかかる。
当時は,当然「手書き」。そして学期ごとに貼り付ける形式であり,すでに全部が貼り付けて,つまり完成形で出してあった。従って,訂正が入ると修正液を使ってそのうえから書きこむのが普通だった。作業を始めて驚いたのは,T校長の貼り付ける付箋の多さ。もちろん学級によって違いはあるが,かなり細かい。
そこから私がしたことは,文章チェックと見せかけて「どうでもいいような付箋」外しである。あまりに担任の先生方がかわいそうでしょ,というヒューマンな思い(笑)で,こっそりと取り外していったのである。よくそんなこと出来たものだなと我ながら驚く。点検システムに手をつける発想がまだなかったのだ。
ごめんなさい,すいませんと,今からでもT校長に謝りたい気持ちでいっぱいだ。しかしそれは叶わない。実はそれから半月ほど後に大変な出来事が起こった。顛末は4月4日に書いた通りだ。今,立場が変わり,もちろん他の誰も呼び出さず一人で見ている。ちょっとしんどいが贖罪!のつもりで,また見始める。