『競走馬私論 ~プロの仕事とやる気について~』(藤澤和雄著 祥伝社黄金文庫)
藤澤和雄は、JRA調教師として唯一NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場している。しかもスペシャル版も含めれば二度ということになる。
この本には藤澤が競走馬の世界に入り外国での経験を経て、調教助手そして調教師になり成功を得るまでの過程が描かれ、自分の信条を何とか通そうと頑張ってきた道筋が色濃く描かれている。
「プロの仕事とやる気について」という副題に関して、ダイレクトにああだこうだと記されてはいないが、確かにプロとしての矜持を感じさせる文章が、随処に散りばめられている。
本当にそこまでやる必要があるのか、…私は「必要かもしれない」と思うからやっている。
一つの行動、一つの作業で、一万分の一しか変わらないのなら、ほとんど同じではないかと考えない。どんなにわずかであっても故障の確率が下がると思われることは断じて行動に移す。
自分の歩んできた道を、飾らずに淡々と綴ってはいるが、頑固な思いだけはずしりと伝わってくる。
馬の売買にかかわること、厩務員制度のあり方、外国遠征にかける情熱…どれをとっても、私たちがほとんど知りえない世界の改善についていわばパイオニアとして役割を果たしている。
調教師としての勝数が多いということだけでなく、そういう存在だからこそ、プロ中のプロとして取り上げられていることがわかった。
その根本理念は「人も幸せに、馬も幸せに」なのだと思う。
他の調教師があまりしない調教の仕方をとることや進上金(賞金)の分配方法など、自らの信念を計画的にしかも大胆に実行に移している。
馬の実力や自分たちの未熟さを知っているだけに現実的である。しかし同時にロマンを持って競馬の世界を歩んでいるように思う。
さて、競走馬の調教と子どもの教育を比べたりすれば、多くの人から顰蹙を買うかもしれないが、実は多くの共通点を抱えているように思う。
臆病な馬がレースに出て自分の力を発揮できるようになるための過程は、心理分析やら世話の仕方など実に肯くことが多いのである。
その細かい対応は、初等教育にぴたりあてはまるように思った。
まあ、一番根本になるのは、藤澤がイギリス修業中に、同僚からかけられた言葉であろう。
Happy-people make Happy-horse
これにならって
Happy-teacher make Happy-children
こうありたい。
藤澤和雄は、JRA調教師として唯一NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場している。しかもスペシャル版も含めれば二度ということになる。
この本には藤澤が競走馬の世界に入り外国での経験を経て、調教助手そして調教師になり成功を得るまでの過程が描かれ、自分の信条を何とか通そうと頑張ってきた道筋が色濃く描かれている。
「プロの仕事とやる気について」という副題に関して、ダイレクトにああだこうだと記されてはいないが、確かにプロとしての矜持を感じさせる文章が、随処に散りばめられている。
本当にそこまでやる必要があるのか、…私は「必要かもしれない」と思うからやっている。
一つの行動、一つの作業で、一万分の一しか変わらないのなら、ほとんど同じではないかと考えない。どんなにわずかであっても故障の確率が下がると思われることは断じて行動に移す。
自分の歩んできた道を、飾らずに淡々と綴ってはいるが、頑固な思いだけはずしりと伝わってくる。
馬の売買にかかわること、厩務員制度のあり方、外国遠征にかける情熱…どれをとっても、私たちがほとんど知りえない世界の改善についていわばパイオニアとして役割を果たしている。
調教師としての勝数が多いということだけでなく、そういう存在だからこそ、プロ中のプロとして取り上げられていることがわかった。
その根本理念は「人も幸せに、馬も幸せに」なのだと思う。
他の調教師があまりしない調教の仕方をとることや進上金(賞金)の分配方法など、自らの信念を計画的にしかも大胆に実行に移している。
馬の実力や自分たちの未熟さを知っているだけに現実的である。しかし同時にロマンを持って競馬の世界を歩んでいるように思う。
さて、競走馬の調教と子どもの教育を比べたりすれば、多くの人から顰蹙を買うかもしれないが、実は多くの共通点を抱えているように思う。
臆病な馬がレースに出て自分の力を発揮できるようになるための過程は、心理分析やら世話の仕方など実に肯くことが多いのである。
その細かい対応は、初等教育にぴたりあてはまるように思った。
まあ、一番根本になるのは、藤澤がイギリス修業中に、同僚からかけられた言葉であろう。
Happy-people make Happy-horse
これにならって
Happy-teacher make Happy-children
こうありたい。