Soul創世記

2006年02月18日 | soul,r&b
          ==========SoulとR&B==========

R&Bとして誕生した黒人流行音楽、60年代になるとSoulと言う呼ばれ方をする。いつからがSoulと呼ばれていたのか?実はこれはよく判らんのだ。どうでもいいと言えば良いのだが、以前から気になってしょうがない。いつのまにか最近のSoulをまたR&Bと呼ぶようになったことでますます追求したくなったのである。
確か70年代にUSAのBilboard紙と並ぶメジャー紙だったCashbox紙が、R&BチャートをSoulチャートと呼ぶようになったと言うことを耳にした事がある。その後Black ContemporaryとかBlacK等と変化していくが、Hip-Hopのメジャー化によりそれと区別化するためにまたR&Bと呼ぶようになったのかな?
私が聞き始めの時は既にSoulと呼ばれており、60年代の音楽、Ray CharlesやOtis Redding、Sam&Dave、Wilson Pickett等の音楽をR&Bと呼んでいた。Stevie Wonder、The TemptationsらMotown系のアーティストはちょうどその狭間である60's~70'sに全盛期を迎えたため、R&Bとは呼んでいなかった。ましてや前出のSam&DaveやWilson Pickett、JBらの曲で踊るスタイルをSoulダンスと呼ぶ。OtisやSam Cookeのように60'sに若くして亡くなった人達のことはR&Bと呼んでいたのだ。よくわからんでしょう?

==========ではここで時代背景と音楽を結びつけて考えてみよう。==========

南北戦争を経て、1865年に奴隷制から解放された後も人種差別は激しく、市民権もまともに与えられていなかった黒人達であったが、'55年に牧師であるMartin Luther Kingを中心とした活動家によって公民権運動が興されることになる。ちょうどベトナム戦争が激化した頃と時期が重なる。これは音楽やスポーツ界にも大きな影響を与えた。モハメッドアリやJames Brownらがこの運動に賛同、応援する発言を繰り返していた。黒人としての誇り、自信、母なる大地Africa回帰などが叫ばれ、'64年には公民権法が制定される。Soulとは魂と言う意味がある。この公民権運動と切り離せないものがあるであろう。”Black Power”が叫ばれ、”Black Is Beautiful”という黒い意識改革が行われた。
この運動はちょうどUSAがべトナム戦争に本格参戦する頃と重なるのだが、白人アーティスト、Bob DylanやJoan Baezなどは反戦歌を歌ったが、SlyはDon't Call Me Nigger、Everybody Is A Starと歌った。JBはSay It LoudーI'm Black,And I'm Proudと同胞に対し自尊心を求めた。このあたりが本格的Soulの始まりなのではないか?白人のために歌わされた60's初頭までのR&Bと60's後期以降のものとは一線を引くべきじゃないかということ。つまり公民権運動以降、そしてKing牧師の暗殺('68年)あたりを契機にをSoulと呼ぶべきかなあ?と思うのだ。
黒人男性はBoyと呼ばれるのを嫌う。それは奴隷時代、またそれ以降も一人前に扱われなかった暗ーく長い歴史を封印する意味もあるだろう。だから彼らは同胞をBrotherと呼び、Manと言う。一見日本でスジ者の人が仲間を兄弟と呼ぶのに似ているが、意味は全く違うのである。そういった訳で'70年前後はメッセージソングが多く歌われている。SlyやJBはメッセージをFUNKにのせて叫び、歌った。Marvin Gayeは黒人運動も安定した頃What's Going Onでベトナム戦争に対しての問題提起をした。
ポマードやヘアークリーム等で無理矢理縮れ毛を伸ばして、白人と同じ髪型をしていたBrother達はAfrica出身らしくアフロヘアーに変えていくのである。

こういった時代背景を考えていくとSoulって深いなあ!って思うよね。だからこの時代、70's Soulは素晴らしいんですよ。60's後期~70's初頭をリアルタイムで聞けなかったのが本当に残念だ。なぜなら一番音楽が進化した時代であるからだ。

ーーーーーーこれについてどしどしコメント下さい。皆さん個々の見解も是非聞かせて下さい!もし歴史的なことで誤った事、追加すべき事項があればそれもまた是非ご指導下さい!ーーーーーー