FUNK~Graham Central Station/5th Album

2006年02月03日 | FUNK
   ーーーーーーーーーー5thアルバムNow Do U Wanta Danceーーーーーーーーーー

通算5枚目、純粋なGCSとしては最後のアルバムになる。Hidekichiにとっては待ちに待った新作であった。70年代にNHK-FMでやっていた渋谷陽一さんの番組で"Earthquake"をかけていたのを聞いて新作の発表を知った。次の日レコード屋に予約しに行ったのは言うまでもないだろう。

さて、またしてもA面から行くぜ!1曲目"Happ-E-2-C- U- A-Ginn"、1stに続きアカペラでのスタート。けしてスペルを間違っている訳ではない、この造語と言うか、シャレの効いた表記は後にPRINCEが得意にしているが影響を受けたことであろう。造語といえばP-FUNKが大得意だが...
前作(1st)よりも軽快なノリで「また会えてよかったぜ!」というメッセージに乗せてBabyfaceがCuteに歌う。これを当時コピーして、原始的な多重録音で歌入れをした覚えがある。かなり大変だった。

2曲目はタイトルチューン"Now Do U Wanta Dance"、Soul Freakのカウントダウンで10位まで上ったのはよく覚えている。なお同時期にチャートインしてたのが確かBootsyの"Pinoccio Theory"だったと思う。なんとトーキングモジュレーターを通したリードベースをフューチャーしたHeavy FUNKで、後半Babyfaceのフェイクが絡んでくる。Grawlと呼ばれるテクニックを駆使して1曲目とは別人の如くシャウトしまくっている。トーキングモジュレーターはJeff Beckが使って有名になったが、Bassで使用する馬鹿者はLarryぐらいのものだ。馬鹿者呼ばわりしたわけは、トーキングモジュレーターと言うエフェクターはスピーカーをバッグに入れ、そこからチューブ(ホース)で引っ張り口でくわえ、口の中に入った音をマイクで拾うという世の中で一番原始的な機械だ。つまり口の中はもちろん頭にかなり響く訳だ。ギターの中高音域ならまだしも、ベースならばかなり頭が痛くなるはず。懲りたのかこのアルバム以降は使用していない。ちなみにトーキングモジュレーターの名手といえば、セッションGuitaristとして有名なワーワーワトソンが有名。彼はこれをVoice Bagと呼んでいる。RogerがMini-Moogにつないでトークボックスと呼んで使用、一時代を築いた。似たような効果にクライベイビーがある。Vox社のCrybabyと言うワウペダルがある。FUNKには絶対欠かせないアイテムだ。私は以前JenのSuper Crybabyって奴を持っていた。

3曲目は"Last Train"はLarryのオートワウベースとシンセベース、Keyb.やGuitarにもワウがかかっており、蒸気機関車の雰囲気を醸しだし、コーラスで汽笛の音を表現している。Larryが全面Grawl気味に歌っている。

4曲目"Love&Happiness"はAl Greenのオリジナルで1stに続くカバーである。2~4曲目までメドレーのようにつながっているこれも原曲はかなりFunkyであるが、バキバキのSlap奏法でHeavyなFUNKに仕上がっている。なぜかLarryがアレンジすると曲が明るくなる。後半の盛り上がりはかなり聞き応えがあるぞ。

5曲目は前出の"Earthquake"。ソウル大地震なんて間抜けな邦題がついていた。LarryとDrumsのGaylordのコンビネーションによるイントロで始まる。FrangerをかけたSlap Bassがかっちょいい!来日公演でもこのイントロフレーズをやっていた。確かThe Crusadersの時もやっていたような気がする。Princeのプロデュースで出したGCS2000のラストナンバーでもやっていた。LIVEのBassソロでは必ずやるパターンだったのであろう。さて、ソロが終わるとFuzz Bassが炸裂する。Jimi HendrixがBassに持ち変えて降臨したかのようだ。Bootsyは歌までJimi節なので総合的にはLarryを上回るJimiフリークだが、さすがにここまでの事はやっていない。途中の間奏前に「My name is Larry Graham」と低音で言ってるのが聞こえるが、これもトーキングモジュレーターによるものだろう。終盤にはやはりまるでJimiのWoodstockでやった”星条旗よ永遠なれ”のようにフリーフォームになる。ここではJet Phazerを使用している。ほんでまたテーマに戻って大爆発!言葉じゃあ表現出来ないね、興味を持った人是非聞いてみて!バカバカしいけど...
そう言えば黒人スラッシュメタルバンド24-7 SPYZがこの曲をカバーしてたな。

B面に変わって、1曲目"Crazy Chiken"はSlyの"Thank You"からインスピレーションを受けたのは一聴してわかるだろう。Funky Filterもしくはオートワウを使用して鶏の鳴き声のような効果を出している。SlyはChikenという曲をLifeでやっていたが、ここではCrazyが付くのでテンポアップしている。しかしLarryはエフェクター好きだなあ。途中のGuitarソロはLarryによるものであろう。

2曲目は"Stomped Beat-Up And Whooped"は3連のミディアム曲。冒頭のハイテナーリードはHarshall Happinessによるもの、途中でBabyfaceのCuteなヴォイスに変わる。非常にポップでオールディーズっぽいメロディー、ちょっとDoo-Wop的なコーラスがまたいい味を醸し出している。

3曲目はうって変わってマイナーなメロディーの曲、"Lead Me On"。LarryのBassだと本当に大げさになるなあ、バラードなんだけど迫力満点!こういう曲で普通Fuzz使うか?誰かBlues系の人のレパートリなんだけど忘れちゃった。誰かわかったら教えて!途中のSaxソロは元SlyのJerry Martiniであろう。このアルバムでは恒例のT.O.P.ではなく、'78年にRUBICONというFUNKロックバンドでJerryと共にデヴューする元Cold BloodのMax Haskett(tp)とDennis Marcellino(sax)が参加している。さらにTpで元T.O.P.のMick Gilletteが参加している。RUBICONは後にNight RangerというロックバンドでデヴューするJack Blades(Bass)とBradley Gillisが参加していた。アルバム二枚を残して解散してしまうが、JackはLarryばりのSlapでバキバキ言わしてたが、なぜかNight RangerではVocalに徹していてSlapを聞かせてくれることはなかった。残念!
Saxの後に出てくるOrganソロはButch、Billy Prestonみたい!Gospel調である。

4曲目"Saving My Love For You"、かなりポップな曲でLarryの奥方でこの後のアルバムからメンバーとして参加するTina Grahamの声が聞ける。かなりCuteなヴォイスである。2人の出逢いの頃を歌っているのだろう、我々は恥ずかしくてとても歌えないな。勝手にやってろ、ってな感じ。今度はGuitarにトーキングモジュレーターを通している。Larryが弾いたのかな?

5曲目はラストナンバー"Have Faith In Me"、LarryがStevie Wonderっぽいアプローチで歌っている、途中アラビアンっぽいメロディーになる部分があったりしてちょっと変わった曲だ。前作までは曲ごとのクレジットがあったのだが、今回は無いが多分Drums以外をLarryがやっているのではないかな?本来はGospel的な曲で神を君に置き換えて歌っていると解釈しているのだが、所詮ひとり言だ。

そんな訳で純粋なGCSとしては最後になってしまった。Babyfaceがこのアルバムで抜けてしまうのは本当に残念だった。 
この辺でタイトルを変えてGCSに関してはまた再スタートすることにします。また次回のひとり言もお楽しみに!

FUNK#12~Graham Central Station/Mirror~4th Album

2006年02月03日 | FUNK
   
 ーーーーーーーーーー4th アルバム~Mirrorーーーーーーーーーー

さて、今度は通算4枚目となる"Mirror"、Hidekichiが最初に買ったGCSのLPだ。'76年発表、ここからリアルタイムになるわけだ。A面から行ってみよう!

1曲目"Entrow"、邦題はウォーキンパーティー。その名の通りマーチングドラムで始まる。途中からメンバー全員のChant、"GCS is the best group from east to west"と連呼する。GCSは世界で一番いけてるバンドだぜ!ってな感じの意味であろう。何てバンド愛の強いことであろう。全日の武藤敬司のプロレスラブ、巨人原監督のジャイアンツ愛よりも強い物を感じる。
以前にも語ったが、92年の来日公演の時の入場曲だ。まさか客席から登場するとは、ひ~ん涙が止まらない!バンドのコーラスの子と行ったから、マジで涙を隠すのに大変だったな。Larryは85~86年ぐらいにThe Crusadersのゲストで来日しているのですでに見ている。その時に白いベースにマイクがついた特注ベースを使っていた。見た目に結構笑える。しかしベースの音のでかいこと、でかいこと!特にFuzzやJet phazerを使った場面は爆音!Jimi Hendrixもかなりでかかったそうが、BluesのAlbert CollinsのGuitarもかなりでかかったぞ。Blues系のGuitaristは爆音の人が多い。
また横道にそれてしまったが、ウォーキンテンポのストレートなFUNKナンバー。自己紹介した後に楽器のソロがある。このアルバムからDrumsがGaylord"Flush"Birchに替わっている。元Cold Blood、まだ4人だったPointer SistersのLIVEアルバムにも参加している。LarryのBassの音色が前作と比較すると格段にブライトになっている。それはフラットワウンド弦からラウンドワウンド弦に変えたのが原因ではないかな?よってBassソロも激しいDistortionサウンドに変化している。2nd、3rdと同様Tower Of Powerが参加しているがやはり素晴らしい味付けになっている。

2曲目"Love"はミディアムのバラード、Larryのバリトンヴォイスにしびれちゃう!バラード系ではこの曲が一番好きだ。例によってこれはGospelソング、今回は筋金入りだ!最後にFunky(7th系)になって終わる、これもGospel的である。ここがまたいいんだよね。
3曲目はタイトル曲"Mirror"、新メンバーとなるBabyfaceとChocolateがフューチャーされている。このアルバムでChocolateが脱退することを予告している。悲しい…
BabyfaceはGuitarやBassを弾くマルチな人で、聞くところによれば、当時のLIVEではLarryが延々とBassソロを弾いている後ろではBassを弾いたり掛け合いをしたりとかなりエキサイティングだった模様。見たかった!5thアルバムを制作した後にまた大幅なメンバーチェンジがあり、Babyfaceも抜けてしまうのだが、歌もChocolateに負けずCuteでダイナミックな声を聞かせてくれる。

4曲目"Do Yah"はいかにもGCSらしいHeavy FUNKナンバー、やはりT.O.P.のHorn sectionがかなりいい味付けになっている。1、2番をLarry、3番をChocolateがリードを取るが、夫婦の会話になっていて3番は1、2番を受ける形になっている。あるインタヴューでLarryが奥さんのTinaをほとんどのツアーに同行させたと語っている。超愛妻家だな。
 
      ーーーーーーーーーーさてB面に行ってみようーーーーーーーーーー

The Isley BrothersなどはA面FUNK Side、B面Ballad Sideといった分け方をしていたが、GCSはどちらかと言えばA面がGCSサウンド、B面実験的、またはバラエティーSideみたいな分け方をしていたのかな?
1曲目は”Save Me"はアップテンポのシンプルなビートの曲であるが、BibleやLordが出てくるからかなりGospel的である。
GCSにしてはStringsが全面に出たサウンドで、途中はノンビートになってOrganとSynthsizerのソロになる。メロはかなりメロディアスで少々スパニッシュ的な要素を持った曲だ。

2曲目”I Got A Reason”は奥方Tinaに脅されて収録した曲であろうか?こんな歌詞の内容普通ならとても歌えないよなあ。当時はReggaeがメジャーになり始めた頃、Jimmy CliffやBob Marleyがヒットチャートに進出して来た頃である。その流れもあったのか、この曲はレゲエの影響を感じさせる。The Eaglesが歴史的な大ヒット、Hotel Cariforniaを発表した頃と重なる。
しかしアメリカ人、特に黒人女性は怖いなあ、と思わせる一曲である。Larryは恐妻家でもあった?

3曲目"Priscilla"はBabyfaceがリードを取っているが、元々はThe Beatlesの"Dear Prudence"をカヴァーした物のリメイクであったようだ。オリジナルは2001年にGCSの2枚組CDのアンソロジーが発表されたが、そこに未発表曲として収録されている。クレジットによればChocolateのリード。このレコーディングがPriscillaの元になったのはその未発表ヴァージヨンを聞いて初めて知った。Larry、制作陣がどう解釈してこのような形になったのかは知る由もないが、明らかにここに収録されたほうが出来がよろしい!

4曲めはLarry Graham Sr.の他界によって彼に捧げられた曲である。Drums以外の楽器はLarryによる演奏。L.Graham Sr.はGuitaristであり、Larryに多大な影響を与えたことは間違いないであろう。アルバム制作途中の出来事でありSr.はまだ48歳であった。こんな大きなハプニングもあって、今までにないGospel色の強いアルバムになったのであろう。Bassの音色だけでもかなりのサウンドの変化を得た素晴らしいアルバムである。