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久しぶりに「トンデモ本の世界シリーズ」の最新刊を購入しました。『トンデモ本の世界X』(と学会、楽工社)です。昔からこのシリーズは私の好みだったのですが、久しく読んでいませんでした。本書を手にとって、パラパラとめくったら、ディープなトンデモ本の他に私の知っている名前が並んでいたので購入することにしました。
最初に取り上げられたのが1969年初版の石原慎太郎著『スパルタ教育』です。あの疾風怒濤の時代に大学生だった私もこの本の表紙だけは覚えています。ベストセラーでしたから。でもバカにしていたから読みませんでした。改めて山本弘さんの記事を読んで、三島由紀夫が推薦文を書いていたと知り、驚きました。直後に割腹自殺とは。
山本さんのつっこみどころは、この『スパルタ教育』ではなかなか良い事を主張しているが、最近は表現の自由で変節してしまった、というもの。淫らな小説を書いていた頃はまともだったのに。
私の天罰知事に対する印象は極めて良くない。大学時代はフランス文学にのめりこんだらしいが、芥川賞を貰って売れたから、フランス文化の全般を理解するまでには行かなかったらしい。フランス語に残る20進法の残滓からフランス人は計算が出来ないと早とちりしてしまう。ガロアやポアンカレの偉大さを理解することは出来ないだろうけど、ヴォルテールくらいは読んだほうが良い。
次に知っているのが『奇跡のりんご』の木村秋則氏です。私の加入している某メーリングリストでも彼のことが話題になり、かなり白熱した議論になったのが去年の5月でした。地元青森の参加者のレポートから引用します。
我が町でも講演会が開催されました。主催関係者には一切面会を拒否、そして公演中の質問も一切お断りという異例の条件付きで講演は終了しました。
テレビで見せる天真爛漫な笑顔とは裏腹にかなりの神秘主義と脅迫めいた講演内容に多くの人が首をかしげる結果となってしまったようです。窒素リン酸カリといった肥料の必要性も科学的に間違っているのではないかという。
この本をよく読むと随所にあやしい文章に遭遇する。
「自分のリンゴを熊は食べるが他のりんご園のリンゴは食べない」
「自分のリンゴはほおって置いても腐らない」
「リンゴの木に優しい言葉を話しかけるとその木はよく実をつける」(おいおいどっかでもきいたぞ、そんなはなし)
「宇宙人に本当に出会った」「その後も何度か空中に浮遊する宇宙人に出会った」「宇宙船のようなモノの中に連れ去られた」などなど。
この「自分のリンゴはほおって置いても腐らない」を実験したのが著者の一人である山本さんです。スーパーで適当に購入したリンゴを家のあちこちにおいて経過を観察し、結果の写真が本書79ページに掲載されています。玄関の下駄箱という涼しい場所では4ヶ月経ってもリンゴは腐りませんでした。どんなリンゴでも温度管理をしっかりすれば翌年の夏までは食べられるのです。スーパーでリンゴが夏でも買えるのは温度管理のお陰です。奇跡でも何でもありません。
木村氏が特に有名になったのはNHKで脳科学者の茂木健一郎氏と対談した番組に出演したからでしょう。こんなハッタリにころりと騙されるようでは本業の脳科学でも大した業績は上げていないと判断せざるを得ません。
最後はサイエンスライターの竹内薫氏です。アンプの設計者として知られた窪田登司(くぼたたかし)氏は1993年に『アインシュタインの相対性理論は間違っていた』を徳間書店から出版しました。これは売れると判断した徳間書店は柳の下の2匹目のドジョウを狙いました。それが『「相対論」はやはり間違っていた―アインシュタイン 理性を捨てさせた魔力』で、執筆者は窪田 登司, 石井 均, 後藤 学, 森野 正春, 日高 守, 早坂 秀雄, 馬場 駿羣, 竹内 薫の8名でした。 彼のライターとしての出発点が同書だったとは『トンデモ本の世界X』を読んで初めて知りました。今でも彼は疑似科学には好意的な人間らしい。また茂木健一郎氏とは大学時代からのお友達ですね。
私も彼の本を1冊持っています。数式処理ソフトMaximaの入門書です。自らはMaximaに通じていないので、大部分を丸投げして書いた不愉快な入門書でした。横田さんの『はじめてMaxima』の足元にも及びません。
さて本書を拾い読みしていると「トンデモ本@おフランス哲学」を持っていることに気がつきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/c9/a4a8cc14415dae865e76b10314f11070.jpg)
久しぶりに読み返してみよう。
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最初に取り上げられたのが1969年初版の石原慎太郎著『スパルタ教育』です。あの疾風怒濤の時代に大学生だった私もこの本の表紙だけは覚えています。ベストセラーでしたから。でもバカにしていたから読みませんでした。改めて山本弘さんの記事を読んで、三島由紀夫が推薦文を書いていたと知り、驚きました。直後に割腹自殺とは。
山本さんのつっこみどころは、この『スパルタ教育』ではなかなか良い事を主張しているが、最近は表現の自由で変節してしまった、というもの。淫らな小説を書いていた頃はまともだったのに。
私の天罰知事に対する印象は極めて良くない。大学時代はフランス文学にのめりこんだらしいが、芥川賞を貰って売れたから、フランス文化の全般を理解するまでには行かなかったらしい。フランス語に残る20進法の残滓からフランス人は計算が出来ないと早とちりしてしまう。ガロアやポアンカレの偉大さを理解することは出来ないだろうけど、ヴォルテールくらいは読んだほうが良い。
次に知っているのが『奇跡のりんご』の木村秋則氏です。私の加入している某メーリングリストでも彼のことが話題になり、かなり白熱した議論になったのが去年の5月でした。地元青森の参加者のレポートから引用します。
我が町でも講演会が開催されました。主催関係者には一切面会を拒否、そして公演中の質問も一切お断りという異例の条件付きで講演は終了しました。
テレビで見せる天真爛漫な笑顔とは裏腹にかなりの神秘主義と脅迫めいた講演内容に多くの人が首をかしげる結果となってしまったようです。窒素リン酸カリといった肥料の必要性も科学的に間違っているのではないかという。
この本をよく読むと随所にあやしい文章に遭遇する。
「自分のリンゴを熊は食べるが他のりんご園のリンゴは食べない」
「自分のリンゴはほおって置いても腐らない」
「リンゴの木に優しい言葉を話しかけるとその木はよく実をつける」(おいおいどっかでもきいたぞ、そんなはなし)
「宇宙人に本当に出会った」「その後も何度か空中に浮遊する宇宙人に出会った」「宇宙船のようなモノの中に連れ去られた」などなど。
この「自分のリンゴはほおって置いても腐らない」を実験したのが著者の一人である山本さんです。スーパーで適当に購入したリンゴを家のあちこちにおいて経過を観察し、結果の写真が本書79ページに掲載されています。玄関の下駄箱という涼しい場所では4ヶ月経ってもリンゴは腐りませんでした。どんなリンゴでも温度管理をしっかりすれば翌年の夏までは食べられるのです。スーパーでリンゴが夏でも買えるのは温度管理のお陰です。奇跡でも何でもありません。
木村氏が特に有名になったのはNHKで脳科学者の茂木健一郎氏と対談した番組に出演したからでしょう。こんなハッタリにころりと騙されるようでは本業の脳科学でも大した業績は上げていないと判断せざるを得ません。
最後はサイエンスライターの竹内薫氏です。アンプの設計者として知られた窪田登司(くぼたたかし)氏は1993年に『アインシュタインの相対性理論は間違っていた』を徳間書店から出版しました。これは売れると判断した徳間書店は柳の下の2匹目のドジョウを狙いました。それが『「相対論」はやはり間違っていた―アインシュタイン 理性を捨てさせた魔力』で、執筆者は窪田 登司, 石井 均, 後藤 学, 森野 正春, 日高 守, 早坂 秀雄, 馬場 駿羣, 竹内 薫の8名でした。 彼のライターとしての出発点が同書だったとは『トンデモ本の世界X』を読んで初めて知りました。今でも彼は疑似科学には好意的な人間らしい。また茂木健一郎氏とは大学時代からのお友達ですね。
私も彼の本を1冊持っています。数式処理ソフトMaximaの入門書です。自らはMaximaに通じていないので、大部分を丸投げして書いた不愉快な入門書でした。横田さんの『はじめてMaxima』の足元にも及びません。
さて本書を拾い読みしていると「トンデモ本@おフランス哲学」を持っていることに気がつきました。
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トンデモ本には詳しくない、似た様な書名から混乱した記事になってしまいました。この部分を訂正して書き直します。