スカーレット手帖

機嫌のいい観客

チョコレートドーナツ

2014-06-04 | 映画ドラマまんが
仕事がヒマなので映画見て来たシリーズその2。

ミニシアター系で異例の大ヒット作、ということで気になっていた「チョコレートドーナツ」も観てきました。


ヒマなのよ。本当に。タスケテ。


個人的なこととして、ミニシアター系のタイトルは毎回意図をどうにも汲み取りづらいものが多く、
逆に題名で観に行きたさが削がれる場合も多いんですよ。
「コレ、最高やで!」という感じで作品買いつけてきた会社の人の並々ならぬこだわりが込められてるんだろうな
とは思うんだけど。
で、これもなんか題名覚えづらいなぁと思って観に行ったのでしたが、原題「ANY DAY NOW」ということで、
メッセージはそういうことかと思った。
確かにこれを「いつの日にか」みたいに訳しても逆にふつうすぎてしょうがねーな。
チョコレートドーナツでいいと思います。覚えにくいけど。

ストーリーはざっくり言うと、ゲイカップルがふとしたことから障害児を手元で育てることになり、
満ち足りた暮らしを送りはじめるも、世間の厳しい偏見にさらされ… というかんじ。
テニミュの世界では「明るく楽しい 笑ってナンボ ラララゲイゲイゲ~イ」と、男子が踊り狂い、みんな大盛り上がりなのだが、
こちらの作品はなんだかとてもリアルな話だった。泣いた。普通に暮らしたいだけの3名がとにかく、満身創痍だ。
まあ正直、私はゲイについては、なんだかんだコンテンツに触れてわかっているような気がしているけど、
フィクションでしか見たことないので、本当にあるのかな?と思う。
まあ、これも自分が「普通の人」の立ち位置だからなんだろうけれど。
創作物としてのBLが楽しいのも、単に「いわゆるタブー」な関係における恋愛が生む葛藤と、それを乗り越えて
想いを遂げる恋人たちの気持ちと行動を興味深く見てるだけだし。
この映画のなかで言えば「股間事情に興味がある」それだけだ。
この映画、裁判のシーンがよく出てくるけど、証言したり判決したりする関係者に女性を絡めているのが面白いなと思った。
なんかホモフォビアって男性中心のイメージがあるけど(個人的にか)、そうでもないんだよなとか、
白人で男性で社会的地位のある男性も、同性愛者であるという一点で埒外の扱いを受けるというのがリアルだなぁというか
なんというか。
そしてそうなることで、本来は「弱者」マルコの庇護者になれるはずだったポールも一気に「異常なもの」となり
基盤を失うというのもドラマだ。

ということでなんかもうこれまじめにLGBTとジェンダー論絡めていろいろ考えて語り出すと
一晩酒でも飲みながら喋りたい沼に落ちるパターンなので、これだけ言っておきたい。
主演のアラン・カミングの目の演技がすばらしい。
この人初めて見たけど何この素敵なお姉さまは、と思いました。涙袋から愛情ダダもれ
そして法廷の「ちゃんとしなければいけない」シーンでも、かすかにアイラインとかマスカラが残ってる(?)ところが
いいよね。
完璧にゲイを隠して生きていこうとしている恋人とは対照的に、本当の自分を隠すのに抵抗したい気持ちが
よくあらわれていると思う。
とにかくアラン演じるルディのキャラクターが愛の化身みたいな感じなので、一気に気持ちを持っていかれる。
歌もとてもうまい。情感があふれている。

ってか、よく考えたらばこの恋人の組み合わせって、「きのう何食べた?」と似ているじゃないの。
(あのマンガも、のほほんとした中に時折殺伐とした香りを醸し出すので愛読しております)
マイノリティの立場でも、悩みもご飯食べたらなんかおさまる、というぐらいの世界の方が、
退屈でもぜんぜん素晴らしい。チョコレートドーナツがもう食べられない世界はさみしいね。



★楽しくなるゲイソングはりつけときます★
【テニミュ2nd】ゲイ術的なテニス【一氏ユウジ&金色小春】


醒めながら見る夢

2014-06-04 | 映画ドラマまんが
最近、仕事が暇すぎる。
なんかやれよ、って感じだけど、意欲がわかない。5月病かもしれない。仕事飽きたぜ。
ということで、ぶらぶらとエンタメ消費をしているここ最近です。

村井良大くんのファンを自認するものとしては一応押さえておかねばならない映画「醒めながら見る夢」を観てきました。


舞台も見ていたので、まあ、あんまりおもしろくないだろうなとは思って行きました。期待値30点ぐらい。
でもわりと、その気持ちで行くとそれをだいぶ上回る感じに仕上がったなー、と思いました。45点ぐらい。
ただし、観る人を選ぶ作品ではあると思います。ていうかこりゃほんとに売れねぇだろうなぁ。よく制作のお金が出たよね。

本当にこの作品、なんでわざわざ映画にするんだろうなぁとは思ってました。
舞台版で主演を堂珍くんにしたのは音楽劇だったからで、劇中でいろいろ歌ってたから、というのはわかる。
そしてヒロインの村川絵梨ちゃんが上手かったからまぁいっか、って感じだった。
あと、作品自体が全体的になんというか白昼夢みたいな感じなので、
この浮遊感は舞台だからなんとか保っていられるけれども映像になるとすると…… 
こわいなー、こわいなー、と思いながら公開を待っておりました。

で、ふたを開けてみたら今回は映像になるにも関わらず誰も演技がうまい人がいないのだ。これはビックリだ。
堂珍くんのレベルに周りを合わせていったらこうなったのでしょうか?
ソフィアの松岡くんはともかくとして高橋ひとみさんまでこんなに下手でしたっけ??
と、無駄な八つ当たりをしたくなる次第です。
緊縛師の人とかポールダンサーとかほんとに素人の人もりだくさん。どう見たらよいのか。
そして今回ヒロインになった高梨臨ちゃんと妹役(こっちがヒロイン?)の石橋杏奈ちゃんがなんか似すぎている。
かぶる。こんだけ似てたら姉妹両方手を出したくなる気持ちはなんかわかるわー、…ってこの映画唯一の共感。
村井くんは、なんか難しい役をやってた。作務衣似合うね。
ただ、彼については尺が短すぎてどうキャラクターに共感したらいいのかわかりませんでしたね。
ここのサイドストーリーのほうが深堀りしたほうがいいんじゃない。

最後になんだ、あの川原での石の積み上げ方は。
賽の河原でひとつ積んでは父のため、ふたつ積んでは母のため… というやつを思い出して
悲しくなりかけたのだが、とちゅうから積み上げすぎで笑ってしまった。
雪だるま作ろうじゃないんだから。積みすぎ。

話は崩壊している(想定済み)し、演技はできてない(想定以上に)し、
ほんとに、舞台が京都じゃなかったら全てを投げ捨てて帰るところだったかもしれません。
でもべつに、話的に京都である必要ないんだけどね。

京都のロケーションに40点、村井くんの京都弁に5点、という感じでした。
村井くん、そのうちちゃんとした映画に出れるといいね。