太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

整形手術

2021-05-12 08:02:16 | 日記
数年前にボルティモアに引っ越したミレナが、家族で写した写真を添付してきた。
1月の彼女の誕生日の風景で、メキシコ人のミレナにはボルティモアの冬は厳しいのか、室内なのに着膨れている。
昨日ヴィッキーにその写真を見せた。

「他の人はそうでもないのに、ミレナは着膨れてるよね」

するとヴィッキーは言った。

「着膨れじゃなくて、目方が増えたの。その上、整形したの」

「えっ!!!整形?どこを??」

「見ればわかるじゃん。チークに何か入れたんだよ」

「えええええー??」

写真を目いっぱい拡大してみると、なるほど、やけに頬骨が盛り上がっていて
巨大タコ焼きをいれたようになっていた。

「前のほうがずっとよかったのに、またなんで?」

「さあねえ。私にはわかんないわ」

目じりに何か注射するとか、顔の皮を引っ張るとか、唇を厚くする人がいるように、
頬に何か詰め物をする人もいるのだな。
私は整形したいと思ったことはないし、今後もしないと思う。
整形した直後はよくても、それを維持しなくてはならないではないか。
それに維持したとしても、他の老化してゆく部分との兼ね合いはどうなる。
顔はシワシワなのに、唇だけぽってりした老女なんて、映画「Men in black」に出てきそうだ。

私もオンナの端くれ。
小顔だったら、鼻が高かったら、世界はバラ色だろうと思う気持ちはよくわかる。
けれど、思うだけ、だ。
ピアスの穴もあけられない私であるから、よけいにそうだ。


ジュディスが昔、鼻の整形をしたのだが、
アラスカに旅行したとき、あまりの寒さに鼻の詰め物をした部分だけが紫になって恥ずかしかった、
という話を聞いて、そら恐ろしくなった。
ミレナの巨大タコ焼きの頬は、いったい10年後、どうなっているんだろう。
私は今後も現実と折り合いをつけて生きてゆこう。









トンネルの長さ

2021-05-11 08:31:15 | 日記
夫が仕事を決めてきた。

無職だった期間は2週間余り。
最長は四か月だったから短いほうだが、トンネルの中を歩いているときには、
この先に出口があることはわかっていても、まるで永遠にも思えるものだ。
見知らぬ場所に行ったとき、往きよりも帰りのほうが距離が短く感じるのはそういうことだと思う。

今度の仕事はランドスケープで、美術館や個人の家のヤードワーク。
結局、自然相手の仕事に戻るわけだ。
オフィスワークはもうこりごりな夫が、植物を育てるナーサリーの仕事に就いた時、これはピッタリだと思った。
だからナーサリーを辞めたときは、私はとても残念だと思ったのだ。
新しい職場は、以前にいたナーサリーの筋向いで、
ナーサリーのときの同僚が、そのオーナーに、「彼は真面目でとってもよく働く、いいやつだよ」と言ったことで採用が決まった。




15年前、夫に初めて会った時、自己紹介のあとすぐに言った。

「僕は1度結婚していて、頭が凹むのを抑える薬を飲んでいるんだよ」

これは当時、英語がてんでダメだった私の直訳で、頭が凹むなんて大変だなァ、とアホな私は思っていた。
凹むのは頭でなく、心。
彼はバイポーラ―(日本語だとなんだろう、躁鬱ぽいのか)であり、日本に来る前にいた、大手の保険会社でひどいウツになった。


夫は怠けたくて仕事を辞めるのではなくて、壊れる前に離れることで自分を守っているのだと思う。
なんでそんなことで壊れるの、と言われても、それが病気なのだというしかない。
自然相手の仕事に戻れて、しかも、収入はグッと増える。

今日は庭のバナナを収穫する

夫が健康であることを喜び、私に仕事があることを喜び、いつも変わらぬ大自然の中で暮らしていることを喜び、
ふとすると、ネガティブに流れてしまう気持ちを立て直しながら、笑って過ごしてきてよかった。
祈ったものみんなに感謝。








うちの母の日

2021-05-10 07:54:02 | 日記
普段は日曜日は仕事になるのだけれど、この日は変則的に休みになった。
朝、張り切ってビーチに行く。
が、行ってみたら風が強く、水温に体が慣れても、水から出た部分が肌寒い天気で
波打ち際を少し歩いただけで引き返した。

来週分の食料の買い物をして、帰宅。
義両親側のファミリールームに広げてあるジグソーパズルをみんなで仕上げる。

インディアナ州に住む、夫の叔母ロビンと電話でおしゃべり。
シュートメの3人いる妹のうち、末のロビンは他の叔母とは毛色が違う。
16で子供を産み、結婚して離婚。
マイクと互いの子供が独立してから再婚したが、8年前にマイクが癌で他界し、今は独りで暮らしている。
ロビンは手先が器用で、特に刺繍は玄人はだし。
ギャラリーのサイトで私の作品を見たロビンが、欲しい、という作品をキャンバスプリントにして送ったら、近所の人に見せてまわって注文を取ってきた。
ロビンとは10歳ほどしか年齢が違わないし、なんとなくウマがあう。
夏になったらハワイに来るというので、楽しみだ。


ディナーは、予告どおり5時に始まった。


メインはロブスターとキングクラブ。
シュートメはカニにアレルギーがあって食べられず、義父は食べるが、めんどくさいという人。
だからカニは私と夫のために用意してくれた。

「今日、ビーチから戻ってきたとき、隣のお寺の墓地に行く車が長蛇の列でさ」
と私。

「そうね、母の日だからお墓参りをするのよね」
とシュートメ。

「私の母は頼りない状態だけど穏やかに暮らしているし、あなたもこうして元気にしてる。生きていてくれることに感謝してるよ、ありがとう」

「私も!(自分でも元気でいることに感謝してる、という意味ね)」

シュートメはお茶目なそぶりでそう言って笑った。





白いカーネーション

2021-05-09 13:36:43 | 日記
ハワイは今日が母の日。
こっちの母の日は、自分の母親だけじゃなく、「母である人全員」が対象だ。
だから、娘が母親に、その娘にも子供がいれば、母親から娘に、
子供がいる夫婦なら、夫から妻に、ハッピーマザーズデイ!のお花やカードを贈る。

義父はシュートメに、派手なバルーンとチョコレートとカードを贈り、夫と私からは鉢植えのチューリップとカードを贈った。
今夜はシュートメがロブスターとカニを調理することになっている。
ディナーは5時。
今日という今日は、絶対に遅れることはできない。
(遅れて大変な目にあった話はコチラ

昨日、職場で同僚から、日本にも母の日はあるのかと聞かれた。
「日本じゃ自分の母親だけが対象で、カーネーションを贈ることになっているから、母の日の前にはカーネーションが値上がりするんだよ」
「花の種類が決まってるの?」
「そう。で、母親がいない子は白いカーネーションなんだよ」
「ええええええええええええ!!!」
その時の同僚の驚きようといったらなかった。
「それはまた残酷な文化だね・・・・」

私も子供心に同じことを思っていた。
母の日に白いカーネーションを胸に挿している子を、私はまともに見られなかった。
母親がいないことは変えようがない事実なのに、なぜそれを今さらのように強調し、人に知らせねばならぬのか。
今はどうなんだろうか。どうかそれはもう昔の話であってほしい。


昨夜、姉からLINEがきた。
予備校に通っている一人息子が、生まれて初めて自ら花を買い、プレゼントしてくれたという。
今までの母の日はスルーで、父親に促されてようやく
「あ。ありがと」
と言うのが精いっぱい。
それでも母子の関係は悪くないし、息子なんかそんなものかもしれないし、別にいいやと思っていたのだそうだ。
玄関で、どこか照れ気味に、でも誇らしげに咲くピンクのカーネーションの写真が添付されていた。
私が姉だったら泣くなぁ、と思い、胸が熱くなった。

グループホームにいる母には、お花を届けたと姉が言った。

我が家の隣のお寺には、早朝から墓参の車で渋滞の列ができている。
私の母は、なにをどのぐらい理解しているのかはわからないけれど、
優しい人達に囲まれて穏やかに暮らしている。
シュートメは気難しい面があるけど、喧嘩できるのも元気で生きていてくれるからこそ。
母の日に、お墓に行かなくても母がいる。
それがどれだけありがたいことであるか、深く身にしみているつもりである。




「Fried Green Tomatoes」

2021-05-08 08:01:17 | 勝手な映画感想
30年前に映画館で観た。
私は映画や本でどんなに感動しても、すぐに忘れてしまう。
それを観た、読んだという記憶はあっても、中身が抜けてしまう。
読んだ、観たことすら忘れていて、半ばほどまで進んでから気づくこともある。


義両親が買ってきたDVDを借りてきた。
これも、すごくよかった、という思い出しかなく、ストーリーなどすっかり忘れているので新鮮。

個人的には、これはキャシー・ベイツのベストロールだ。


Evelynは、老人ホームにいる夫の叔母を訪問したときに、Ninnyという老女に出会う。
最初は付き合い程度に老女の話の相手をしていたが、だんだんとその話に引き込まれ、彼女に会いに行くようになる。
その老女の物語が、この映画のストーリーだ。


子供が巣立ち、夫婦だけになったが、夫はまったく自分のことを顧みず、Evelynは味気ない結婚生活をなんとかしようとするが空回り。
ストレスで食べることをやめられず、Ninnyの前で大泣きするEvelynが言うセリフがある。

I'm too young to be old, but I'm too old to be young

(年寄りになるには若すぎて、若くなるのには年を取り過ぎてる)


このセリフは、30年前には心に引っ掛からなかった。
当時、私はまだ独身で、30にもなっていなかった。


1930年代のアラバマと、1990年代のアラバマの、女の友情の話。
ドキドキしてジンとして、クスリと笑って、最後にホッと温かくなる。
そんな、観てよかった、と思う映画。


タイトルのフライドグリーントマトだが、これはアメリカ南部の料理だ。
その名の通り、まだ緑のトマトを輪切りにして、パン粉をつけて焼いたもの。
この映画が封切られたあと、話題になった。
私の同僚に、テネシー州出身の人がいる。
テネシーも南部地方。
「もう100万回たら聞かれたわよ、フライドグリーントマトって食べたことある?ってね」
「私も聞こうと思ってた。それで、あるの?」
「答えは、NO!。アラバマとテネシーは違うんだってば」

そういう勝手な思い込みや誤解はよくある。
つい先だって、別の同僚に
「芸者って高級な売春婦なんでしょう?」
「芸者は女性と口をきいてはいけないってほんとう?」
と聞かれて驚いたところだ。
舞妓も芸者も花魁もごちゃまぜじゃないか。




まだ観たことがない人はぜひ。
観たけど忘れている私のような人にも、ぜひ。
老人になるには若すぎて、若者になるには年を取り過ぎている人にも、ぜひ。