太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

鈍感

2023-05-09 06:39:04 | 日記
同僚のF(男性)は70代手前の古株で、ドアでお客様を迎えるグリーダー専門。
パンデミックを境にいったん辞めたのだけれど、数か月前から再び働くようになった。
その日、勤務中は携帯電話を使ってはいけないことになっているのに、Fが携帯電話に見入っている前をお客様が行き来しているのを見て、

「F、F、Better put your phone down(F,電話をしまったほうがいいよ)」

と、レジスターの場所から注意した。
するとFは、やおらこちらに向かって歩きながら、

「My wife is sick!◇△#&(ここは聞き取れず)!I punch in your face!!(妻が病気なんだ!お前の顔をぶん殴るぞ!)」

とわめきたてた。
それを聞いたマネージャーがオフィスから飛び出してきたほどの剣幕だ。

「Why are you yelling at me?(なんで私にわめくのさ?)」

私はなぜFがこんなにいきり立っているのか不思議だった。
大騒ぎしているのは周りの人達で、ゼネラルマネージャーに電話するマネージャー、私をランチに行かせて、代わりにレジに立つ同僚。
休憩時間にFがやって来て、私に謝った。
15歳年上の奥さんが調子が悪いのは知っているし、Fも辛いのだろう。
けれど、だからといって人に暴言を吐いていいということじゃない、というようなことを私は言った。Fはしおたれて、反省しきり。
Fは早退し、しばらく出勤停止となった。

その夜、ゼネラルマネージャーから電話があり、謝り、慰め、Fに怒り、私のことを心配した。
実は私はそれほどショックを受けたのでもなく、すごく怒っているというのでもない。
誰かの言動にショックを覚えたり、怒りが湧くのは、

・その相手がとても近い存在だったとき
・言われた内容を自分で認めているとき
・無防備でいたとき

だと思う。
Fはただの同僚で、それはFの問題であって私には関係ない、と思っているからどうでもいいが、これが夫だったら大問題。

私は顔を殴られるようなことをした覚えはないので、これも平気。
たとえば誰かが「この成金野郎!」と私に言ったとしても、私は成金でも男でもないので何も感じないのと同じ。
が、「このヘンテコ英語ババア!」と言われたら、確かにそうだと自分で認めていることなので、ショックだし怒ると思う。

日々、たくさんの人と会うので、私は仕事の前に自分のオーラをしっかりガードするように努めている。それをしないでいたときは、状況が変わるかもしれない。


翌日も、入れ替わり人が来て、私に声を掛けてくれる。オーナーからもお見舞いの電話が来て、もしFがいることでストレスになるようなら、Fを解雇すると言った。
暴力や差別に関して、アメリカは日本よりも厳しいと感じる。
それは言葉であっても同じこと。
Fは仕事が必要だから再び働き始めたのであり、仕事を探すのも難しいだろう。
私は平気だと答えた。

しかし今頃になって、そういえば誰かに「ぶん殴るぞ」なんて言われたことはなかったな、と思い、なんだか少しショックかも、という気になってきた。
ようするに、鈍い。
いつも、あとになってから、ああ言えばよかったと思うことが多い。
神経と頭のめぐり具合が、非常に残念。


昨日、Fは謹慎が解けて出社してきた。
Fは週に5日勤務を希望しているが、とりあえず2日か3日というところで落ち着いている。




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