朝、ウォーキングしていると、ベーコンを焼く匂いが漂ってきた。
私はBLTサンドウィッチは好きだけど、自分でベーコンを焼くことはない。
でも、あの香りは好き。
少し行くと、香ばしいコーヒーの香りがしてくる。
開け放った窓ごしに、男の子がオレンジジュースとシリアルらしきものを食べているのが見える。
庭に出したテーブルで、新聞を読みながらコーヒーを飲む人がいる。
人々が、それぞれの生活を営んでいるのを感じるのはいいものだ。
子供の頃、夕方、家の前で地面を掘ってビー玉を探していると
どこかの家で魚を焼く匂いがしてきたり、お釜でご飯を炊く匂いがしてきた。
カレーライスの匂いがすれば、うちの夕飯だったらいいなと思った。
豆腐屋さんのラッパが鳴って、遠ざかってゆく。
魚やの魚鶴さんが、御用聞きにやってくる。
どこかの家でお風呂をつかっていて、
カポン
と洗面器が湯舟に当たる音がして、バスクリンの匂いがした。
住宅の気密性がよくなったからか、エアコンが普通につけられるようになったからか、
実家のある町ではそういう生活音や匂いは、昔ほど感じられなくなったと思う。
ハワイの我が家がある付近では、まだまだ生活感は残っている。
エアコンがない家が殆どなので、窓が開けてあるからというのもあるし、
どの家にもBBQのグリルがある文化、というのもあり、
気候がいいので庭やテラスで飲食する人も多いから、というのもあるだろう。
ホースで水やりをしている人が、ホースから出る水で遊びたい犬を持て余しているのや、
庭の芝刈りの途中で、通りがかりの人と話し込んでいる人がいる。
社会で何が起きていても、
人々はこうして朝ベーコンを焼き、コーヒーを淹れて、グリルでソーセージを焼き
芝を刈ったりして正しく暮らしている。
ちゃんと、平和だ。
なんか、よくわかんないけど、ダイジョブだな、と思う。