同僚から、
「近所の人に、いったいこれが何だかわからない、といってもらったんだけど、いったいこれが何だかさっぱりわかんないんだけど」
と言って手渡されたもの。
『にぎらずにできる携帯おにぎり』
と書いてあるから、おにぎりなんだろう。
「ライスボールだね」
「ライス?でも、乾いた音がするよ」
降るとカシャカシャと音がする。説明を読むと、熱湯か水を入れるとおにぎりになる、とある。
てことは、生米が入っているのか。
「熱湯を入れたら15分、水だったら1時間待つとライスボールになるらしい」
家でひとつやってみる、といって、残りは全部私にくれた。
さっそく、休日に昆布おにぎりを作ってみた。
開封して、中の保存のためのコブクロを取り出して、赤い線までお湯を注ぐ。
口を閉じたらよく振って(20回ぐらい)15分待つ。
15分後。
袋を開けたら、あらまあ!きれいなおにぎりがそこにある。
ワケないよなぁ。
そうだよね、んなわけないとは思った。
そこには、オジヤに近いような雰囲気の昆布入りの米飯が、なんだか所在なげにいるだけだった。
これを、どうしたら「おにぎり」と呼べるのか。
これをおにぎりにするには、袋から全部出して、自分で握らなければならない。
しかし握るには水分が多いし、お米自体も頼りない。
商品化の際の会議で、揉めなかったんだろうか。
「いや、これはおにぎりにしてしまうには、ちょっと勇気が・・」
「何を言う。おにぎりにするかしないかは消費者が決めればいいことだ」
「でも、おにぎりと書いてあるからには、おにぎりでないと何かと苦情がくるのではと・・」
「だから、にぎらずにできる、とちゃんと書いてあるじゃないか」
「そう言いましても、にぎらずとも、おにぎりはできないわけでして」
「君もいちいち細かいことを言うね。今はおにぎらずなんていうのが流行っているんだよ。それに乗っからない手はないと私は思うね」
味は、見た目のとおり。
5年保存できるらしいから、乾パンみたいに災害時の保存食にはいいかも。
おにぎらずが流行ったときに、日本にいなかった私は、おにぎらずを食べたことがない。
にぎらなかったらそれはおにぎりじゃないんじゃないの?なんていう反論が出てくるのは、私がおにぎらずを知らないからか。
知らぬ間に、にぎってなくても、おにぎり、と呼べる時代になったのか。
小さな疑問が渦巻きつつ、完食した。
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