何十年も昔に、叔母が言ったことである。
日中、氷水をたくさん飲む夫のために、朝食の味噌汁にたっぷりのおろし生姜を入れるようにしている。
それでなくても、生姜やニンニクはなるべく使うようにしていて、
ほぼ毎日のようにそれらをおろしていることになる。
そしてそのたびに、この言葉が頭をよぎるのである。
叔母は父の弟の嫁で、私が父の会社にいた20数年間ずっと一緒にいたから、母には言えないような話もした。
何かの拍子に
「生姜剥くバカ、大根剥かぬバカ、っていうよね」
叔母が言ったそのことが、するりと私の心の隙間に入り込んで、今でも生姜をおろすたびにそれが染み出してくる。
生姜は皮と実の間に成分があるからで、大根は皮と実の間にアクがあるからということだったと思う。
日本で買う生姜は新鮮で皮も薄く、繊維も少ないけれど、
こっちの生姜はひねていて、繊維が多くておろすのも大変なのが多い。
だから、わかってはいても皮を剥く。
どうでもいいようなことを、なぜかしつこいくらいに覚えているものである。
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