怒涛の運転免許 ~仮免編~
怒涛の運転免許 ~路上試験1~
怒涛の運転免許 ~路上試験2~
試験時刻3分前に受理された書類を持って、外のベンチに座ろうとしたら、ふと自分の車が目に入った。
あわてて車を停めたせいか、白線の上を踏んでいる。
車に乗り込む際に、これをチェックされやしないかと不安になり、時間が気にはなるものの、この1点のために今回も落ちたらかなわんと思い、走って車に行き、駐車し直し、また走って戻る途中で、試験官らしき人が歩いて来た。
「ああ、ここにいたのね、探していたのよ」
白人の、細身で穏やかそうな女性が、少しハスキーな声でそう言った。
車に乗り、慎重に走り出す。
先週とは違うルートだったが、指摘されたところは注意深くこなした。縦列駐車も完璧で、前回忘れたハンドブレーキもかけ、タイヤも縁石に向かって切って停めた。
ルートのほとんどは、信号のない住宅地の中の道路で、減点される場所などないように思えた。
試験が終わり、言われた場所にうまく車を停めることもできた。今日こそ免許をもらって帰ろう。
ところが、ハスキー氏は残念そうに言った。
「うーん・・ペナルティが多すぎるの。」
はぁ??? 今なんておっしゃいました?
ポカーンとした私に、ハスキー氏は絵を描いて、丁寧に何が悪かったかを説明してくれた。
前回、右折の際にハンドルを切りすぎて、後ろのタイヤが路上の斜め線を踏んだと指摘されたのと同じ交差点が、今回は弧が大きすぎて、反対車線に 入りそうにみえた 、という。
入ってないんですよね?入りそうに見えただけ、だよね?ええ? と言えるはずもなく。
注意不足と言われたから、しっかり注意したのに、今度は 注意深く見すぎて 危険。
「また1週間後に来てね。何か質問はある?」
質問だらけだ。なぜ何十年も日本で無事故運転してきた私がダメなのか、なぜトムが電話に出ないのか、なぜ私は危険を犯して一人で運転して家まで行く羽目になったのか、なぜまた来週の早朝に並ばなくてはならないのか・・・
たかが運転免許で、人格まで全否定されたような気分だった。
こんなときは、状況の中にあるラッキーを探すに限る。
先週のフィリピン系のおばちゃんは、こんな丁寧に説明してくれなかったからラッキーか・・・・
ああよかった、ラッキーじゃん私・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・って全然ラッキーじゃなーーーーーいッ!
夫の父が、試験が終わったら必ず電話してと言っていたので電話した。
「ハーイ!ハウ アー ユー?」
夫の父のやけに明るい声が、私のすさんだ心を逆撫で、私の中の「ブラック」な私が這い出てくる。
「元気なんかじゃない。また落ちた!トムは電話に出なかった!私は法を犯して一人で家に戻ってパスポート取りに行ったッ!」
箇条書きのようにまくしたてた。夫の父に罪はない。ただ私は誰かを責めて、感情のバランスを取りたかった。
「オゥ ノー。それは残念だったなぁ・・・・・」
しばらくして、母を乗せた父の車が駐車場に入ってきた。
「同伴者が免許を提示することになってたんだよ。だから誰か呼んでいいか聞いたら、違法だって言われたんだよ」
私はまだ言い足りなくて、再び文句を言った。すると夫の父は笑って
「あっはー、ダメだよーぅ。そんなこと聞いちゃぁー(欽ちゃんみたいな言い方だった)」
ぷっちーーーーーーーん なんか頭の中で切れた。
「もうやめたッ!!免許なんかいらない!一生誰かに乗せてもらって暮らすんだ。死ぬまでバスに乗ってやる!」
隣りで見ていた夫の母が、「まぁまぁとにかく家に帰りましょ」
ぶちきれた私と、それを見て怯む父の背中を押した。
その夜、食事をしているときに、夫の父が自分が免許を取った時の、世にも恐ろしい話をした。
故郷のインディアナ州にいたときに免許を取ったが、結婚とほぼ同時にハワイに移住してきて、忙しさにかまけて更新するのを忘れてしまい、結局ハワイで取り直すことになったという。
「最初の路上試験の時に、路上に出る前の車のチェックで後方のウィンカーが片方つかなくて試験を受けられなかったんだよ。でも家に戻ったら、ちゃんとついたんだよね」
「次の時は、路上試験の前に試験官が、今日はどうやってここまで来たかと聞くから、運転してきたと言ったら、一人で運転しちゃいけないからダメだろう。とまた試験を受けられなかったわけさ」
そんなこんなの、あいた口がふさがらない話が続き、結果、
「5回目でやっと免許がもらえたんだよ。まだ2回目なんだから落ち込まなくてもいいよ」
・・・・・おとーさん、5回って多すぎだろう・・・・・・・・・・・・・・
言っちゃいけないことを言ってるのは自分も同じじゃないか。
私を慰めようとしてくれたのだと思うが、私は余計に気分が滅入ってしまった。
怒涛の運転免許 ~路上試験1~
怒涛の運転免許 ~路上試験2~
試験時刻3分前に受理された書類を持って、外のベンチに座ろうとしたら、ふと自分の車が目に入った。
あわてて車を停めたせいか、白線の上を踏んでいる。
車に乗り込む際に、これをチェックされやしないかと不安になり、時間が気にはなるものの、この1点のために今回も落ちたらかなわんと思い、走って車に行き、駐車し直し、また走って戻る途中で、試験官らしき人が歩いて来た。
「ああ、ここにいたのね、探していたのよ」
白人の、細身で穏やかそうな女性が、少しハスキーな声でそう言った。
車に乗り、慎重に走り出す。
先週とは違うルートだったが、指摘されたところは注意深くこなした。縦列駐車も完璧で、前回忘れたハンドブレーキもかけ、タイヤも縁石に向かって切って停めた。
ルートのほとんどは、信号のない住宅地の中の道路で、減点される場所などないように思えた。
試験が終わり、言われた場所にうまく車を停めることもできた。今日こそ免許をもらって帰ろう。
ところが、ハスキー氏は残念そうに言った。
「うーん・・ペナルティが多すぎるの。」
はぁ??? 今なんておっしゃいました?
ポカーンとした私に、ハスキー氏は絵を描いて、丁寧に何が悪かったかを説明してくれた。
前回、右折の際にハンドルを切りすぎて、後ろのタイヤが路上の斜め線を踏んだと指摘されたのと同じ交差点が、今回は弧が大きすぎて、反対車線に 入りそうにみえた 、という。
入ってないんですよね?入りそうに見えただけ、だよね?ええ? と言えるはずもなく。
注意不足と言われたから、しっかり注意したのに、今度は 注意深く見すぎて 危険。
「また1週間後に来てね。何か質問はある?」
質問だらけだ。なぜ何十年も日本で無事故運転してきた私がダメなのか、なぜトムが電話に出ないのか、なぜ私は危険を犯して一人で運転して家まで行く羽目になったのか、なぜまた来週の早朝に並ばなくてはならないのか・・・
たかが運転免許で、人格まで全否定されたような気分だった。
こんなときは、状況の中にあるラッキーを探すに限る。
先週のフィリピン系のおばちゃんは、こんな丁寧に説明してくれなかったからラッキーか・・・・
ああよかった、ラッキーじゃん私・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・って全然ラッキーじゃなーーーーーいッ!
夫の父が、試験が終わったら必ず電話してと言っていたので電話した。
「ハーイ!ハウ アー ユー?」
夫の父のやけに明るい声が、私のすさんだ心を逆撫で、私の中の「ブラック」な私が這い出てくる。
「元気なんかじゃない。また落ちた!トムは電話に出なかった!私は法を犯して一人で家に戻ってパスポート取りに行ったッ!」
箇条書きのようにまくしたてた。夫の父に罪はない。ただ私は誰かを責めて、感情のバランスを取りたかった。
「オゥ ノー。それは残念だったなぁ・・・・・」
しばらくして、母を乗せた父の車が駐車場に入ってきた。
「同伴者が免許を提示することになってたんだよ。だから誰か呼んでいいか聞いたら、違法だって言われたんだよ」
私はまだ言い足りなくて、再び文句を言った。すると夫の父は笑って
「あっはー、ダメだよーぅ。そんなこと聞いちゃぁー(欽ちゃんみたいな言い方だった)」
ぷっちーーーーーーーん なんか頭の中で切れた。
「もうやめたッ!!免許なんかいらない!一生誰かに乗せてもらって暮らすんだ。死ぬまでバスに乗ってやる!」
隣りで見ていた夫の母が、「まぁまぁとにかく家に帰りましょ」
ぶちきれた私と、それを見て怯む父の背中を押した。
その夜、食事をしているときに、夫の父が自分が免許を取った時の、世にも恐ろしい話をした。
故郷のインディアナ州にいたときに免許を取ったが、結婚とほぼ同時にハワイに移住してきて、忙しさにかまけて更新するのを忘れてしまい、結局ハワイで取り直すことになったという。
「最初の路上試験の時に、路上に出る前の車のチェックで後方のウィンカーが片方つかなくて試験を受けられなかったんだよ。でも家に戻ったら、ちゃんとついたんだよね」
「次の時は、路上試験の前に試験官が、今日はどうやってここまで来たかと聞くから、運転してきたと言ったら、一人で運転しちゃいけないからダメだろう。とまた試験を受けられなかったわけさ」
そんなこんなの、あいた口がふさがらない話が続き、結果、
「5回目でやっと免許がもらえたんだよ。まだ2回目なんだから落ち込まなくてもいいよ」
・・・・・おとーさん、5回って多すぎだろう・・・・・・・・・・・・・・
言っちゃいけないことを言ってるのは自分も同じじゃないか。
私を慰めようとしてくれたのだと思うが、私は余計に気分が滅入ってしまった。
「あとになり 身に沁みる 友の声」
あーこりゃこりゃ(って笑ってごまかすしかない)
三度目の正直、英語でなんていうのかね。
Third times goes well か。
>じゃ、試験に落ちるのと新車傷つくのとどっちがいい~?(^^)ゞ
うーーーん・・・・傷の加減にもよるが・・
試験は1回8ドルだから、試験のほうがいいや・・・ああでもなあー、人格否定された気分はイヤなもんだし(真剣に迷っている)
としか言ってあげられない。(^^)ゞ
赴任者や留学生、みーんな免許取っているから、大丈夫だよ。←慰めになってないかぁ(^^)ゞ
でもさ、私、何度か言ったよね?
日本で国際免許取得して、その有効期限の1年の間にボチボチ現地の免許試験に挑むもんだよ~。英語の問題もあってなかなか受からないらしいよ・・・と。
ま、話聞いてなかったと思うけど(- -)ゞ
国際免許があれば一人で運転してもよかったわけだし・・・
次は大丈夫!三度目の正直だよ。きっと・・・ ←やっぱり慰めにならないか・・・
じゃ、試験に落ちるのと新車傷つくのとどっちがいい~?(^^)ゞ