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『グラスホッパー』(伊坂幸太郎)

2007-07-01 21:59:18 | 読書日記
 押し屋、自殺屋、ナイフ使い。3人の殺し屋が、一つの事件をキッカケに対決することに。ここに、一人普通の人間「鈴木」が絡むことで思わぬ方向に事件が展開していく。最後に生き残るのは誰か?
 自殺屋が対象をどのような形で自殺させるのかが最後まで分からず、ちょっと消化不良。この作品は細かい設定なんてものは気にせず、次から次へとどんでん返しを繰り返していくストーリーを純粋に楽しむべきでしょう。

 「トノサマバッタには緑でないものもいる。」
 「密集したところで育つと『群集相』と呼ばれるタイプになる。」
 「そいつらは、黒くて、翅も長いんだ。おまけに、凶暴だ」
 「仲間がたくさんいる場所で生きていると、餌が足りなくなるから、別の場所へ行けるように飛翔力が高くなるってことらしい」
 「人もごちゃごちゃしたところで、暮らしていたら、おかしくなる。人間は密集して暮らしている。通勤ラッシュや行楽地の渋滞なんて、感動ものだ」
 「バッタは翅が伸びて、遠くへ逃げられるが、人間はできない。ただ、凶暴になるだけだ。」

 ポップな文体で、登場人物の軽妙な表現もどこか一歩引いた客観的な表現が多く、深刻で重いテーマもさらりと描いています。
 独特の引用文も多く、独特の伊坂ワールドが如何なく展開されています。