四季の書斎 世界は破滅に向かっている。

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ゴールドマン・サックスと西川善文社長

2009年07月01日 05時22分00秒 | 社会問題

第十六回 星野リゾート社長 星野佳路(ほしの・よしはる)さん ~温泉やリゾートを蘇らせる「達人」技~
beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2006年4月22日付け紙面から

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温泉やリゾートを蘇らせる「達人」技
旅館などを再建するエキスパートとして引く手あまた。この日も再建を手がける東北の温泉地を訪れた=3月、青森県三沢市の古牧温泉で

破綻(はたん)したリゾート施設を次々に蘇(よみがえ)らせていく。

北海道のアルファリゾート・トマム、静岡県の伊東温泉いづみ荘……。01年に取り組みを始め、今や全国10カ所。運営開始から3年で黒字化、という目標は現在まで失敗なし。東北を代表するスキー場アルツ磐梯(福島県)も黒字化を見込む。

再生へのコンセプトを施設ごとの特色を見極めて決める。これが決め手だという。アルツは「プレーヤー・サポート(支援)」。スキー場はリフト運行業ではなく、サービス業であることを肝に銘じる。

例えば、どこにでもあるレッスン。アルツでは「上達保障付き」と銘打ち、うまくならなければレッスン料を返す仕組みを採り入れた。料金を下げない代わり、利用者本位の姿勢を貫く。「教科書通りの経営戦略をしているだけ」という。

「リゾート運営の達人」を目指すと公言する。軽井沢の老舗(しにせ)旅館に生まれた。大学を卒業後に米国へ渡り、ホテル経営を学んだ。家業を継いで社長になり、不振に陥った温泉やリゾートの再生ビジネスも始める。米投資銀行のゴールドマン・サックスとの協力関係も深い。彼らが買収した旅館などの運営を担当する。

自由と合理主義を尊ぶ。ネクタイはしない。本社には社長室どころか机もない。「ポストは単なる役割ですから」

約600人の正社員のうち、管理職は社長直属のユニットディレクターと呼ばれる約60人のみ。立候補して全国のリゾート地に赴き、再生を牽引(けんいん)する。一方で、1週間のうち2日しか働かない正社員も認める。

国内の温泉やリゾート地は、バブル経済と、その崩壊後の景気低迷に翻弄(ほんろう)され続けた。

87年のリゾート法施行で大手が地方に進出すると、小規模な旅館は経営破綻や廃業に追い込まれた。景気が失速すると、今度はシーガイア(宮崎市)など大手も苦境に。海外旅行との競合も激しくなるばかりだ。

そんな中での再生への挑戦。苦しいはずだが、「リゾート地は楽しむもの。まず従業員が楽しくなければ」と話す。

今年2月から運営を担う青森県三沢市の古牧温泉。経営不振から職を失いかねなかった従業員たちが今、再生コンセプトを詰める話し合いを続ける。

「人気ホテルでは駐車場で、係員が誘導している。印象が違う」「バイキングの補給が遅いとの苦情があったけど」……。

再雇用された従業員たちは必死だ。その議論に時折さりげなく入り込む。パソコンを片手にデータを示しながら、軌道修正していく。しかし、結論は絶対に押しつけない。

経営の方向性を第一線で考える重み。それがやる気を引き出し、前向きな取り組みに結実する。その好循環こそが働く楽しみ。達人はそう信じている。
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