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元気の源

猫が大好き、動物が大好きな、パステル画家・山中翔之郎のブログです。

ねどこ 1

2011-08-11 02:03:47 | My Works -仔猫-

昨年7月中旬に『 ねどこ 2』という作品をブログにアップしました。
それからしばらく経った初秋の頃、その記事をご覧になったという方からこんな質問をいただきました。
「2 ということは、1 があるのですか? 」
「はい、おっしゃる通り・・・」と答えながら、季節を意識したらご紹介するタイミングを逸してしまい、そのまま1年が過ぎてしまいました。

お待たせしました。
今回ご紹介する作品が『 ねどこ 1 』です。
『 2 』が、こんな風に 蚊遣りブタを正面から見た構図に対し、『 1 』はブタさんのお尻から・・・。

                    

『 2 』と同様にまったくの想像図ですが、これもありそうだと思いませんか? 猫はこちらが心配になるくらい狭いところが好きですからね。

この絵は完成直後に展示会に出品してそのまま飼い主が決まったので、私自身も一緒にいる時間がほとんどありませんでした。
『 2 』を見た幼い子供が、「子猫がブタさんに食べられちゃった」と心配してくれましたが、その子がもし今回の絵を見たら、いったいどんな感想を聞かせてくれるのでしょうか?

描き手からの一方通行ではなく、ご覧下さる皆さんの想像力を掻き立てるような相互通行ができる絵も描いていきたいと思います。
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しあわせの香り

2011-07-21 17:03:15 | My Works -仔猫-
                 『 しあわせの香り 』

以前ノラ猫の取材をしているときに、こんな表情をしている子猫に出逢った。
私の気配を感じていないかのように、しばらくの間身動きもせずにこのままでいた。
その何とも言いようのない表情に惹かれた私は、気づかれないようにその姿をカメラに収め、静かにその場を離れた。

後日この作品が完成したとき、タイトルを考えるのに時間はかからなかった。
まさに『 しあわせの香り 』をクンクンしているとしか思えなかったから…。


このコにとって、しあわせの香りの原因は…実は鰹節だったのかもしれない。 でもそれはどうでもいいことだ。 しあわせの元は人(猫)それぞれ…。 重要なのはしあわせだと感じていること。
どんなに些細な事でも、たとえ一瞬でも、しあわせな気分になると笑顔になる。 笑顔は新たなしあわせオーラを生み出して、その周りをしあわせな気分にしてくれる。 この子猫を見て私が感じたように…。
一つのしあわせがその周りの10人をしあわせな気持ちにさせ、更にその10人の周りの100人がしあわせ気分に…。 そうやってしあわせ気分の連鎖が地球上を覆い尽くしてくれればいいなぁ…と思う。
大袈裟だとか夢物語だと思ってしまえばそれまで…。 しかし、小さな何気無いしあわせを当たり前のことと済まさず、しっかりと“しあわせ”と感じることが大切だと思う。

当たり前だと思っていたことが、実は当たり前ではなかった…と、あの3月の大震災の時に誰もが感じたはず…。
しかし悲しいけれど、時が経つにつれて少しずつ少しずつあの時の気持ちが薄れてきたように感じる。
被災された多くの方々がいまだに大変過酷な生活を強いられているという現実を忘れてはいけない。 
だからこそ被災を免れた者は、不自由なことや出来ないことへの不満よりも、当たり前のように出来ていることを喜び、しあわせに感じる気持ちを大切になければ…と思う。 

クンクン…身近なしあわせの香りをしっかりと感じ、笑顔がもっともっと増えていきますように…!
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夢をのせて・・・

2011-06-05 17:21:52 | My Works -仔猫-

2008年12月、銀座ボザール・ミューで16回目になる個展出品作の中の1点。
この個展では通常の縦横の比率よりも細長い作品ばかりを描いてみた。

およそ 短辺1:長辺2.5 という比率は、縦にしても横にしても細長いからこその生まれる独特な構図があり、楽しく新鮮な気持ちで描くことができる。
すでに何点かご紹介した“天体シリーズ”と呼んでいる作品も、この細長い構図から生まれたもの。

今回の『夢をのせて・・・』は、“天体”というほどのスケールの大きさはないけれど、好奇心いっぱいの子猫と、ふわふわ空中を漂うタンポポの綿毛の間にどうしてもある空間を作りたくて、そのためにこの細長い構図がぴったりだった。

タンポポの綿毛を登場させることがたまにある。
風に身を任せ、どのようなところに行き着こうと、やがてその場所で芽を出し、花を付ける・・・。
どんな運命でも素直に受け入れ、謙虚に、美しく、そして逞しく生きる姿に、胸が熱くなるのを覚えずにはいられない。

 明日がどんな日になるかなんて誰にも分からない。
 分からないから夢を持てる。
 夢を持てば頑張れる。
 その夢の実現を信じて・・・。

子猫とタンポポの綿毛の間に流れる目には見えない風の中に、そんな思いを込めて描いてみた。


制作当時を思い出しながら書いていたら、ふとTV画面に映った被災地の子供たちの姿が浮かんできた。
どんなに悲しい出来事が起こっても、今がどんなに辛くても、将来のある子供・若者たちにはどうか夢を持ち続けてもらいたい。 明日を信じて欲しい!
そのために、大人と呼ばれている私たち一人一人も負けずに夢を持ち続け、自分にできることを精一杯やり続けていかなくては・・・!

未来への夢をのせたたくさんの綿毛が被災地の空を舞い、それが日本中の、そして世界中のいたる所で芽を出し、根を張り、様々な美しい花を咲かせる日が早く訪れますように・・・!
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手の中の仔猫

2010-11-03 18:28:47 | My Works -仔猫-

この10月から新しく始まったTVドラマの中に、「獣医 ドリトル」があります。 ご存知の方も多いのでは・・・。

主演の獣医役が人気俳優の小栗旬くんであることや、ドラマのテーマがどういうものであるかは別として、とにかく毎回いろいろな動物が登場します。
そして、その一つ一つの小さな命(時には大きな・・・)を必死になって救おうとする場面では思わず手に汗を握り、なんとかしてその命が助かった瞬間には素直に喜びの涙が溢れ出てきます。

ドラマの中のこと・・・と言ってしまえば、それまで・・・。
確かに現実では、どんなに名医と言われる獣医さんがいたとしても、全ての命を救えるわけではありません。
それでも・・・、それでも・・・、出来る限りのことをしてあげたいと思う気持ちが、たとえドラマの中のことであっても、現実と同じように心が震えてしまうのです。

きっとそれは動物も人間の関係ない、家族への思いに他ならないと思います。
ましてや彼らは人間の言葉を喋れません。 そんな彼らの心の声に耳を傾け、その思いを少しでも感じようとするのは、家族として当たり前のこと。
じっと目を見て・・・、ぎゅっと抱きしめて・・・、その瞳が何を語ろうとしているか、そのぬくもりがどんな思いを伝えようとしているかを、心の耳でしっかりと聞いてあげなければ・・・。

(本当にこれでいいの・・・?)
疑い出したら切りがありません。 それを確かめる術は何もないのですから・・・。
出来ることは、自分の心の耳を信じ、ただひたすら、ありったけの愛を注ぐだけ。

きっとそれは奇跡とも言えるような“縁”があっての出逢い・・・。
そうして家族の一員となった動物たちの命は、私たち人間の手の中にあるのだから・・・。 そしてそれを守ってあげられるのは、その子を愛する心しかないのだから・・・。
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チコの好きな場所

2010-10-21 19:29:16 | My Works -仔猫-

「チコ! おいで・・・」
犬の散歩でもしているのでしょうか・・・?
ベランダ越しにどこからともなく聞こえてきたその声が、私に懐かしいこの作品を思い出させてくれました。

今回ご紹介する「チコの好きな場所」は、1999年に開いた私にとっては記念すべき第1回個展出品作の中の一つです。


ご縁があって、猫好きの若いご夫婦から、絵の参考にと飼い猫たちのお写真を何枚かいただきました。 その中に、この絵のもとになった1枚が・・・。
仔猫の周りにある4本の棒状のものは椅子の脚です。 その表情があまりに可愛らしく、ぜひとも絵にしたいと思っていました。

初めての個展ということもあってギリギリまで制作に追われ(これは今でもあまり変わっていませんが・・・)、ゆっくりとタイトルを考える余裕などありませんでした。
この子が“チコ”という名前であることを聞いていた私は、チコの本心も分らぬまま、この椅子の下がお気に入りの場所なのだと信じ込んでこのタイトルを付けたのでした。

いよいよ個展が始まって間もなく、心配なことが一つ・・・。
(タイトルに“チコ”という特定の名前を使っていることが、その絵を楽しんでいただく上でマイナスにならないだろうか・・・?)
そんな他愛のないことまで真剣になって心配していたのです。
初めての個展だったからでしょうか・・・。 何でもかんでも不安に感じていたことを、今では懐かしく思い出します。

さて、この絵の持ち主になってくれた私の親友でもあるO君ご一家は、その当時猫を飼っていませんでした。 その後しばらくして本物の猫を飼うことになり、なんとその子に“チコ”という名前を付けたのです。
その話に、先ずは素直に大喜び。 ところがよくよく話を聞いてみると、そのチコちゃんは絵の中の子とは別の種類で、風貌はまったく似ていないとのこと。
私は一瞬ポカ~ン状態に・・・。 一方、そんなことはまったく気にしていない様子のO君。
その大らかさにただただ感服しながら、私が思っていたよりもずっと彼が猫好き人間であることを知った瞬間でした。


この絵を改めてよく見ると、目立たない色でちょっと自信無さ気に書かれたサインが、今更ながら照れ臭く感じます。
同時に、あの頃の初心を思い出させてくれる気がします。
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みつめてほしい

2010-09-30 18:08:14 | My Works -仔猫-

今回ご紹介する「みつめてほしい」のモデル、実は前回の「あ・そ・ぼ」の子と同じです。

まだ目の色がはっきりしていないところからすると、ほとんど同じ頃だと思われますが、経ったとしても、数週間?
にもかかわらず、この違いは・・・。
「あ・そ・ぼ」の時は、ただただメチャクチャ可愛いのに対し、この「みつめてほしい」の表情には、幼いながらも可愛さを超えた大人の(?)美しさが・・・。 早くも猫独特の神秘的な魅力が滲み出ていたのでしょうか。

この子の飼い主さんとは今も交流があり、時々交わすメールの中で、この元モデルさんの現在の姿を見ることができます。
果たして大人になっても「みつめてほしい」の頃の美しさを保ってくれているかどうか、気になる方も多いのでは・・・?
でも・・・、それはご想像にお任せすることにしましょう???
ひとことだけ・・・、“立派”に育って、元気とのことです。

猫だけでなくあらゆる動物に言えることですが、幼少期の無条件に可愛い時期は余りにも短かくて、悲しくなってしまうほどです。
せめて絵の中ではいつまでも・・・!


あっ、一応付け加えておきますが、大きく、立派に、逞しく成長された猫様方、あなたたちにはあなたたちにしかない魅力があることを、十分にわかっていますから・・・ね。
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あ・そ・ぼ

2010-09-28 02:09:12 | My Works -仔猫-

今からもう9年も前になる2001年の9月11日・・・。 アメリカで起きたあの同時多発テロの日です。
TV画面を通し、その悲惨な瞬間をリアルタイムで見た方も多いのではないでしょうか。

その週、私は銀座ボザール・ミューで5回目となる個展の真っ最中でした。
10日の月曜日が初日。 その日は平日にもかかわらず、忙しい悲鳴をあげっ放し・・・。
ところがその翌11日は朝から台風が直撃し、夕方になっても来廊者はゼロ。 今日はどうしようもないな・・・と諦めかけたころ、その日初めてにしてたった一人だけのお客様が来てくださいました。 とても嬉しかった気持ちと共に懐かしく思い出します。
そしてその夜、TVを見ているとあの忌まわしい事件の映像が飛び込んできたのでした。

台風には直撃されるわ、前代未聞のテロが起きるわ、余りに印象深いことが重なったこともあって、この時期になると毎年その一週間のことが甦ってきます。


今回ご紹介する作品「あ・そ・ぼ」は、上記の第5回個展出品作の一つです。
その回ではもちろん、私の全仔猫作品の中でもBEST5に入る人気者です。 
まだ目の色もはっきりしていない頃の仔猫は、“可愛い~~~!”の塊。 おそらく見る者全てを微笑ませてしまう無条件の魅力に、はたして対抗できるものが他にあるのかと思ってしまうほどです。
きっと・・・、仔猫に限ることなく、人間も含めたあらゆる生物の小さな命が放つ瞳の輝きに気付いたなら、人はもっと人に優しくなれるはず・・・。
人間同士の悲しい出来事がこんなにも多いのは、いつの間にかその瞳の輝きを忘れてしまったからなのでしょうか。 この世に生を受けたものは、幼い頃に誰もがみんな間違いなく持っていたはずなのに・・・。


毎年この時期になり、そしてあの一週間が甦ると、「あ・そ・ぼ」の前で微笑を浮べてくださった方々の顔と、TV画面に写し出された絶望の風景が重なって、なんとも複雑な感情に襲われてしまいます。

“平和”とか “幸せ” とか・・・、そんなに簡単で単純なことではないと言われれば、確かにその通りかもしれません。
しかし、たとえば仔猫の純粋無垢な可愛さにふと感じる安らぎ・・・。 そんな単純で小さな気持ちを大切にすることが、実は何よりも先ず必要なのではないかと思うのです。 

そんな気持ちを一人でも多くの人が思い出し、そして忘れないために、私の描く絵がどんなにささやかでも、そのきっかけに成れればと願っています。

世界中の人たちの小さくても純粋な気持ちが集まって、いつの日か真の“平和”が訪れることを信じて・・・。
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夏のねどこ

2010-07-17 23:42:07 | My Works -仔猫-
                             「ねどこⅡ」 
 
TVのクイズ番組を見ていたら、「これは何?」という問題の中に “蚊遣り”が出ていました。
懐かしいと同時に、若い世代の人たちの多くが“蚊遣り”というものの存在自体を知らないことにびっくり!
そういえば蚊取り線香も余り使われなくなっているのでしょうか?

そこで思い出した作品が、この「ねどこⅡ」
2002年7月、「夏らしい猫作品を・・・」というお話を受けて描いた作品のうちの1点です。

“夏”という言葉を聞いて、先ず頭に浮かんだのがこの“蚊遣りブタ”。
子供の頃には夏になれば当たり前のように使っていたのですが、いつの頃からか目にしなくなっていました。 押入れの奥にでも仕舞ってないかと探してみたのですが、さすがにもう見つけることはできませんでした。
それでも一度頭に浮かんだ“蚊遣りブタ”をどうしても絵の中に描き入れたくて、あちこち探し回った末、ようやく昔ながらのブーちゃんを手に入れることができました。

猫と蚊遣りブタを如何にして組み合わせるか。
その結果生まれたこの構図は・・・、想像です。
でも、本当にありそうでしょう! 実際に、蚊遣りブタではないけれど、似たような状況に出くわしたことが何度もありました。
それにしても、なぜ猫は自分の身体よりも小さくて狭い場所を好むのでしょうか? もっとゆったりしたところで、のびのびと寝れば良いのに・・・と、思わず余計な心配をしてしまいます。

聖路加画廊での個展でこの作品を展示した時、たまたま通り掛かったまだ幼稚園児くらいの小さな子供がこの絵の前で立ち止まりました。 しばらくじっとみつめていたかと思うと、急に心配そうな顔をして、傍らのお母さんにこう訊きました。
「このネコちゃん、ブタさんにたべられちゃったの?」
お母さんは苦笑いを浮かべながら、私に向かってなぜか申し訳なさそうに会釈をし、答えを待つその子の手を引いて行ってしまいました。
あとでどんなふうに説明してあげたのでしょうか?

子供の想像力に脱帽!
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ぬくもり

2010-07-13 17:44:39 | My Works -仔猫-

久し振りに仔猫作品を一つ。
タイトルは「ぬくもり」

2003年の秋、ボザール・ミュー9回目の個展のテーマは「げんきを おすそわけ」
我が家の元さんの絵を中心とした出品作の中に、この1点がありました。
一見似ているようにも見えますが、元さんではありません。

それより以前に、展示会会場でお会いしたことがきっかけで何回か個展にも来ていただいた方から、あるとき1枚のお写真をいただきました。
「我が家の子です。 よかったらモデルにしてください」
その可愛さに思わず「ワァッ!」 ありがたくいただくことに・・・。
特に肖像画のご依頼ということではなかったので、しばらくあたためておく時間がありました。 そして個展のテーマを決めた時に、この子を絵にしようと思ったのです。

まだ目の色もはっきりとしていない頃、生後1ヶ月にも満たない子猫の可愛さと言ったら・・・!
手のひらにチョコンと乗ってしまうほどの小ささにも拘わらず、しっかりと生きている姿を目の前にすると、単に可愛いというだけでは留まらずに、目頭が熱くなるほどの感動すら覚えます。
この子に負けずに私も頑張らなくちゃ・・・と思ってしまうのは、きっと私だけではないと思いますが・・・?

感動する気持ちが生きるエネルギーになる・・・と私は信じています。
私自身が心を動かされて描いた絵だからこそ、きっとご覧下さる皆さんにも何かを感じていただけるのだと・・・。

私からの感動=元気の御裾分けをどうか受け取って下さい!

いつもそう願いながら、これからも描き続けていきたいと思います。


この絵の後日談・・・。
その後この子の飼い主(買い主)になってくださったM.O.さんとは、不思議なご縁で繋がっていました。
2004年暮れに起きたスマトラ沖大地震の救済キャンペーンとして、翌年夏に開かれたチャリティー絵画展に参加しました。 その時出品した2点の小品のうちの1点をお買い上げいただいたのがM.0.さんでした。
もちろんその時はお買い上げいただいた方の情報などは知る由もなく、それはそれでしょうがないことと思っていました。
しかし、まったく別の展示会場で、「もしかしたら・・・」と声を掛けられ、その話を聞いた時の驚きといったら・・・。

絵が取り持ってくれた不思議なご縁。 その感動を大切にしたいと思います。
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ホタルの歌がきこえる

2010-06-12 03:03:03 | My Works -仔猫-
2001年の秋、5回目となるボザール・ミュー個展の出品作 「ホタルの歌がきこえる」

そのときのテーマは“対話”
猫だけでなく身近にいるいろいろな動物たちを見ていると、ふとした瞬間に、身じろぎ一つせず何かにじっと聞き耳を立てているような表情をしているときがあります。
そんな時、彼ら(彼女ら)の耳には人間では決して聞くことが出来ない自然の声や音が聞こえているのだと思えてなりません。

その頃、私の実家にホタルブクロの鉢植えがありました。
その可愛らしい形と色がとても好きで、その花を見るたびに、細長い釣鐘の形をした赤紫色の花びらの中で、今ではすっかり見ることも無くなったホタルが歌を歌っている・・・、そんな想像をしていました。
その歌を聴いてみたい・・・と、何度も何度も思いました。 しかし、子供のころの感受性はだいぶ錆びついてしまったようです。
ふとした瞬間に何かが聞こえたような・・・と感じたことが何回か・・・。
でもそれは残念ながら、願望がもたらした幻だったようです。

無駄な試みだと思いつつも再びホタルブクロに耳を近づけようとしたある時、急にあの不思議な表情をした猫の顔が頭に浮かんできました。
そして、この絵が生まれました。

きっと猫たちにはホタルの歌声が聞こえるんだろうな・・・。
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待ち伏せ

2010-06-08 00:42:44 | My Works -仔猫-

今回の作品タイトルは 「待ち伏せ」 
2000年の初夏、銀座ボザール・ミューでの3回目の個展に出品した作品です。

そのときの個展は小品を中心としたもので、テーマは“瞳”
B5サイズにも満たないほどの中に、猫の象徴でもある瞳を思い切りアップにして描いた作品が多かったのを覚えています。
その中でも、この作品は特にインパクトが強く、迷うことなくDMに使うことになりました。

はっきりとしたモデルはなく、イメージだけで描きました。 だからでしょうか、何となく我が家の元さんに似てしまったのは・・・???


これまで30回を超える個展において、共通して言えることの一つ・・・。
それは一番最初に赤ポッチ(売約済のしるし)が付くのは、DMに使った作品がもっとも多いということ。
DMに印刷されたもの以外にどんな作品があるのかわからないのですから、当然といえば当然なのですが・・・。

その時も、この「待ち伏せ」を目当てに、初日のオープン早々からお見えになった方が何人もいました。 しかし、不思議なことに、その日の夕方になっても、赤ポッチはつかないまま・・・。
私が絵の世界に飛び込んだ最初からずっと応援し続けてくださっている S.O.さんが飛び込んできたのは、まさに終了間際でした。
そして迷うことなく「待ち伏せ」の前に立ち、ニコッと笑みを浮べると、両手を静かに額に添えてこう呟かれました。
「待っていてくれたんだ・・・」
直後に赤ポッチが付いたのは、言うまでもありません。

DMを見た時からぜひうちの子に・・・と思っていてくださったとのこと。 ただ初日の日中はどうしても都合が付かず、閉廊ギリギリになってしまったそうです。
(もし既に売約済になっていたら、ご縁が無かったんだ・・・)
期待と諦めが入り混じった気持ちで、ご自分にそう言い聞かせていたそうです。
実際に何人もの方が手を挙げそうになりながら、結局誰も決心のつかないままでいたのは、もしかしたらS.O.さんの“念”みたいなものがそうさせたのかもしれません。
きっとそれが、「待ち伏せ」の子の運命でもあったのでしょう。


それから3年後、この子にもう一つの運命的なことが・・・。
この作品はとても人気を集めていたので、個展終了後に改めてポストカードにしてありました。 それがある日ブックデザイナーの方の目に留まり、なんと単行本の表紙に使われることになったのです。

泉鏡花賞作家 辻章 氏の「猫宿り」という小説です。
そのタイトルを知った時、思わずなるほど・・・と頷いてしまいました。

発売当初、やはりその売れ行きが気になり、書店を見つけてはついつい立ち寄っていたものです。
著しい数の本が並ぶ中に、子のこの顔を見つけたときの喜びは今でも忘れられません。 心の中で思わず「頑張れ!」と叫びながら、その数冊を手に取りレジに向かったことも幾度となく・・・。


作品自体は小さいですが、大切に飾ってくださっている S.O.さんにとって、そしてもちろん私自身にとっても、存在感の大きな作品です。
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よろしくネ

2010-06-06 02:16:53 | My Works -仔猫-

前回に引き続いての仔猫作品。 タイトルは 「よろしくネ」

赤ベコならぬ、トラの張子が脇役になっていますが、実は今年の年賀状に使った作品です。

そう、今年は寅年!
猫好きからすれば、トラ=ネコ みたいなものです。
なんとかこの両方を一緒に絵にしたいと考えていました。
イラスト調で・・・とも思いましたが、やはり本来のリアルなタッチで・・・と決定。
そこで、トラさんには申し訳なかったのですが、張子で登場してもらうこととなりました。

好奇心いっぱいの目でジッと何かを見ているこの子の表情が可愛くて、だいぶ前からいつか絵にしたいとあたため続けていました。
ようやく巡ってきた寅年に、ぴったりの相手役(?)が見つかって、思わずホッと・・・。

しかし最近になって、年賀状に使っただけでは可哀想に思えてきました。
そこでもう一度・・・、少しでも多くの方々にご覧いただければ嬉しいです。

梅雨が目前に迫ったこの時季になって何ですが、今年も残り半分、何卒よろしくお願い申し上げます!
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すやすや

2010-06-05 02:52:37 | My Works -仔猫-

無性に仔猫を描きたくなる時があります。

どちらかと言うと・・・、いや圧倒的にブー猫を描く方が多いのですが、突然のようにその欲求に襲われると、もうどうしようもありません。
我が家の元さんも仔猫だった時はありますが(当然・・・!)、それは今から19年近く前の数ヶ月間だけのこと。
幸いなことに、絵の参考にとたくさん方々からいただいた愛猫たちの可愛らしいお写真があるので、それを取り出しては、「仔猫を・・・」の欲求に応えるべく、パステルを手にするのです。

“子供”、特に“赤ちゃん”には、猫に限らず、人間も含めた全ての動物に共通した魅力があります。
今回の作品「すやすや」のように、ちょっとやそっとのことでは決して目覚めることの無いほど熟睡している寝顔を見ると、なぜか無意識のうちに見る者の頬が緩み、幸せな気分になってしまう。 小さな身体で、何をしてくれるわけでもなく、ただひたすら眠っているだけで、こんなにも見る者の気持ちを和ませてくれるとは・・・。

“小さい”存在だからこその“大きさ”を感じます。

“無邪気”が持つ力の偉大さに驚かされます。

でも、この無条件に可愛い時期って、どうしようもなく短いんですよね。
せめて絵の中では、いつまでも・・・。
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