1945年生まれの著名な絵本作家の著者によるエッセイ集。
統一的なテーマはなく、思いつくところを書き綴ったという風情です。著者の得意のイラストはなく(イラストだと絵本になってしまうからでしょうね)、著者が海外で撮影したモノクロ写真が、文章の内容とはあまり関係なく配されていて、そこが渋い味わいです。
ゴッホの「カラスのいる麦畑」が著者にとっては重要な絵で、その原画を初めて、それも所蔵しているアムステルダムのファン・ゴッホ美術館ではなくニューヨークの美術館で見たことに、「何でお前ここに居るんだ?」とものすごく混乱したというエピソードが書かれています(60~62ページ)。私はゴッホなら「夜のカフェテラス」の方が好みですが、まぁそういうきれいな絵よりも「カラスのいる麦畑」とか「星月夜」なんかの方がゴッホらしいですもんね。
東南アジアの屋台で自分はサッパリ・フォーが好きだから定番調味料はあえて遠慮してかけずに食べていたら運んできたおばさんが見かねて戻ってきて塩や砂糖や酢やたぶんナンプラーを勝手にかけ、パクチーも山盛りにしたり、小さな女の子が著者が作った絵本をしたり顔でめくって仕掛けを教えてくれたりするのに、何も言えずににっこりする(41~43ページ)のも、外国での話がたくさん書かれていても、やはりいかにも日本人らしいよなと思ってしまいます。
五味太郎 ブロンズ新社 2022年2月25日発行
統一的なテーマはなく、思いつくところを書き綴ったという風情です。著者の得意のイラストはなく(イラストだと絵本になってしまうからでしょうね)、著者が海外で撮影したモノクロ写真が、文章の内容とはあまり関係なく配されていて、そこが渋い味わいです。
ゴッホの「カラスのいる麦畑」が著者にとっては重要な絵で、その原画を初めて、それも所蔵しているアムステルダムのファン・ゴッホ美術館ではなくニューヨークの美術館で見たことに、「何でお前ここに居るんだ?」とものすごく混乱したというエピソードが書かれています(60~62ページ)。私はゴッホなら「夜のカフェテラス」の方が好みですが、まぁそういうきれいな絵よりも「カラスのいる麦畑」とか「星月夜」なんかの方がゴッホらしいですもんね。
東南アジアの屋台で自分はサッパリ・フォーが好きだから定番調味料はあえて遠慮してかけずに食べていたら運んできたおばさんが見かねて戻ってきて塩や砂糖や酢やたぶんナンプラーを勝手にかけ、パクチーも山盛りにしたり、小さな女の子が著者が作った絵本をしたり顔でめくって仕掛けを教えてくれたりするのに、何も言えずににっこりする(41~43ページ)のも、外国での話がたくさん書かれていても、やはりいかにも日本人らしいよなと思ってしまいます。
五味太郎 ブロンズ新社 2022年2月25日発行
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