伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

空にピース

2024-02-28 22:08:40 | 小説
 教育実習のときにウサギ小屋の前で声をかけた児童がその日増水した川で水死したのを自分は何もできなかったと無力感に苛まれた心の傷を持ちながら、多摩地区の「都内ワースト1の学力」を争う水柄地区の水柄小学校に赴任した教師5年目の26歳澤木ひかりが、精神を病んでリタイアした前任者を引き継いでいきなり学級崩壊状態の6年2組の担任を持たされ、さまざまな事件や親との確執に振り回されながら奮闘する1年を描いた小説。
 貧困家庭で虐待を受けながらもがきつつ生きるこどもたちの姿に胸を痛め涙し胸を熱くする、そういう作品だと思います。さまざまなこどもたちの苦しみが描かれていますが、私は、問題児扱いされている今田真亜紅の姉アイリンの健気さに打たれ、優等生として前半でひかりに重用されながら家庭の事情で大学には進学せず働くと決めている(小6にして!)高柳優美のその後が気になりました。


藤岡陽子 幻冬舎文庫 2024年1月15日発行(単行本は2022年2月)
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