伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

ネメシス 復讐の女神 上下

2016-07-24 19:40:11 | 小説
 酒での失敗を繰り返しアル中からの脱却を目指している荒くれ者のオスロ警察警部ハリー・ホーレが、銀行強盗がATMからの現金の手渡しが遅いといって窓口行員スティーネ・グレッテを射殺した事件と、ハリー自身がかつての恋人アンナ・ベーツェンの部屋を訪れ意識を失って自宅に戻った夜に左利きのアンナが右手に銃を握って頭を撃ち抜かれた死体で見つかり警察は自殺と判断した事件の謎を解くべく奔走する警察アクション小説。
 この作品で、ハリーの相棒となる新人の刑事ベアーテ・レンを、生まれてこの方見た顔をすべて記憶しているという特殊な能力を持つという、同じ北欧のミステリー作家スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」のリスベット・サランデルを彷彿とさせる設定にしながら、ベアーテが冷静な判断力・推理力を持つが、度々顔を赤らめる初心な女にして、ハリーと敵対するイケメン警部トム・ヴォーレルと肉体関係を持ち続け、しかしトムからハリーの情報を要求されてもそこは裏切らないという今ひとつスッキリしない中途半端なキャラにしているところが、読み味を悪くしていると思います。
 事件の真相については、作者としては捻ったつもりなのでしょうけれども、なんだ結局そこへ持っていくのという印象で、ハリーの突撃肉弾戦的な進行とあわせて、ミステリーとして考え抜かれた構成に納得するというよりは、荒くれ捜査官のアクション小説かなぁという読後感を持ちました。


原題:SORGENFRI
ジョー・ネスボ 訳:戸田裕之
集英社文庫 2015年7月25日発行(原書は2002年)
コメント
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