伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

フラミンゴの村

2012-05-09 00:04:20 | 物語・ファンタジー・SF
 20世紀初頭のベルギーの片田舎で、成人女性のほとんどがフラミンゴに変身する事件が起こったという題材で、家族や村人の動揺と結束、疲労と疑念と対立抗争を描いた幻想小説ないし寓話。
 妻がフラミンゴになってしまったら、そして多数のフラミンゴの中で自分の妻が見分けがつかなかったら、夜間そのフラミンゴたちが襲われて死んでいたら、そのフラミンゴが卵を産んだら・・・自分はどう思うか、どういう行動をとるか。同様の境遇に陥った村人との間で連帯感と猜疑心のいずれが勝つか。さらにいえば、このような状況をチャンスと考えるかピンチと考えるか。設定は荒唐無稽ですが、いろいろ考えさせられる内容を持っています。
 終盤の村人の対立の場面は、妻たちの問題よりも迷惑施設と利権、例えば原発立地をめぐる村の分裂にも通じるものがあります。
 フラミンゴへの変身に込められた寓意がいずこにあるかはさておき、興味深い作品だと思います。


澤西祐典 集英社 2012年2月10日発行
すばる文学賞
コメント (1)
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