伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

曲がり角の日本語

2011-11-12 00:20:34 | 人文・社会科学系
 日本語の乱れを指摘し、文化審議会や学校文法の誤りを主張するとともに、言葉はうつろうものという前提で今後の日本語の変化について論じた本。
 タイトルからは、今どきの若者はと嘆く本かと思いましたが、どちらかといえば若者よりもこれまでの文科省などの方に批判的で、変化自体には寛容な書きぶりになっています。
 文法論は、数式で表現されたりしていることもあり、私はあまり理解できませんでした。むしろ、今後の予測部分の方に興味を持ちました。格助詞の使い方で、これまで「に」を用いてきたところに、「で」が使われることが増えるとか、「可能」を示すときには「ら抜き言葉」が標準として使われて「ら抜き言葉」にならない「受け身」と区別されてそれはむしろ文法規則としては統一的になり合理的という指摘は、そうだろうと思います。でも、使役は4段活用1段活用を問わずに未然形に「させる」をつける、つまり「行かさせる」「切らさせる」(こういうの「さ入れ表現」っていうんですね。今ATOKの警告で知りました)という形に統一される可能性が非常に大きい(180ページ)とか、サ行3段活用の動詞で「議論する」とか「恋する」は「議論しる」「恋しる」になる可能性がかなりあります(182~183ページ)っていわれると、衝撃的というかついて行けない感じがしました。
 「成就するものは恋ではない」(4ページ)とも書かれていますが、私はやっぱり「恋する」心を大切にしたい。


水谷静夫 岩波新書 2011年4月20日発行
コメント
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