伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

ローザの微笑

2007-08-24 20:08:02 | 小説
 現役女子大生AV女優でメディアの寵児だった千石ローザが同棲していた監督から捨てられ、雇われマダム、ストリッパー、売春婦、ホームレスと落ちぶれていく様子を描いた小説。
 ローザを食い物にする男たちやマスコミの醜さを淡々と描いたという読み方もできないではないですが、ローザは、子どもの頃の母親からの虐待を除けば、自ら進んでやっているという書きぶりですから、まわりの者から都合のいい物語にも思えます。
 ただ何よりもいやらしいのは、現役女子大生AV女優で大仰なほど丁寧な言葉づかいで「私と、セックスしていただけませんか」が流行語になったとか、男優兼監督で「グローバル映像」の社長とか、お笑い芸人の「クラークしんじ」とか、誰をモデルにしているのか見え見えなこと。私はまじめに調べる気もないからどこまでが事実かわかりませんが、こういうモデル小説は、書いてあることが本当ならプライヴァシー侵害だし、事実と違うなら名誉毀損。モデルにされた方にとっては、どちらにしても迷惑この上ない。最後にフィクションだと断れば、何でもアリだと思っているのでしょうか。それに加えて、この種の有名人をモデルにした小説は、作家が腕で勝負しないで/できないで、モデルのネームバリューで読ませようというさもしい根性が見えて、私は嫌いです。


海月ルイ 文藝春秋 2007年6月30日発行
コメント
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