VWゴルフというクルマは、クルマ好きにはいつも気になる存在のクルマである。そろそろ新型の噂もちらほら聞こえるようになってきたが、ゴルフⅤを買うなら、熟成された今が買い時かもしれない。そんなワケで、私は尾車親方と共に、ゴルフの販売店に出かけた。
本命は「TSIトレンドライン」だったのだが、試乗車が出払っていたので、待ち時間に「TSIコンフォートライン」に乗せていただく。
チョイ乗りの大雑把な印象にしかならないが、私のクルマとの比較でいえば、下のトルクがある分、出足の力感はやや私のレガシィ2.0iに勝るが、ステアリングのしっかり感や乗り心地はそう大差ないという印象。6速DSGは発進時に若干スムーズでない部分も感じられるが、一般的なMT乗りのドライバーよりも、滑らかなシフトワークであることは間違いない。
静粛性は、レガシィの方が若干静かかもしれないが、ゴルフも悪くない。スペースユーティリティに関しては、ボディの長さがぜんぜん違うので、荷物の積載性はレガシィ・ツーリングワゴンの圧勝である。ゴルフⅤは、リアシートを畳んだときに、荷室がフラットにならないのが痛い。やはりこの部分で、レガシィ・ツーリングワゴンと比較すべきは、「バリアント」の方であろう。
その後、本命の「TSIトレンドライン」に乗る。7速となったDSGは「コンフォートライン」のそれよりもスムーズで、「コンフォートライン」で僅かに確認された発進時のしゃくり感というかギクシャク感が解消されている。エンジンの透過音は「トレンドライン」の方が車内に侵入してくるが、むしろスポーティーに感じるくらい。エンジンの力感については街乗りの印象では、「コンフォートライン」とほとんど変わるところはないように思われた。
「コンフォートライン」と比較して明らかに違う点は、
・ホイールがアルミからスチールになること。
・エアコンがフルオートからセミオートになること。
・ステアリングが革巻きからウレタンになること。・・・の3点である。
このうち、3連ダイアル式のセミオートエアコンは、むしろフルオートよりも手探り操作性に優れるので、むしろ良いかもしれない。ただし、3連ダイアルの操作感は、クリック感にやや欠け、質感は高くなかったことを報告しておきましょう。
それよりも私にとって一番残念なのは、ステアリングが革巻でないことである。私は手に汗をかきやすいので、ウレタンのステアリングは滑ってしまうのだ。昔と違って、今はステアリング交換は簡単でないので、ここは革巻を奢ってほしかったところだ。
この3車、スペック等を比較すると、非常に近いところにあり、なかなか興味深い。
今回乗ってみた印象から、私が買うとすれば、「コンフォートライン」よりも「トレンドライン」となることは間違いない。
だが、「トレンドライン」と「レガシィ2.0i」のどちらを選ぶかは、大いに迷うであろう。実質的な燃料代を考えると、ハイオクガスのゴルフとレギュラーガスのレガシィとの差はほとんど無いといってもいいだろう。エアバッグの数やESPなどの安全装備ではゴルフが勝る。冬道においてはレガシィのAWDにアドバンテージがありそうだが、これは冬にゴルフに乗ってみないと、本当のところは分からない。私がレガシィ2.0iを購入する際に、このゴルフトレンドラインが登場していたならば、本当に悩んだと思われる。
コンベンショナルな技術で作られたレガシィ2.0iだが、先端技術を駆使したゴルフトレンドラインと、実質的には充分に比較する価値のある優秀なクルマである。残念なのは、そのことが、一般的には浸透していないことなのだ。インプレッサもチープな質感のインパネ周りを除けば、いいクルマだし・・・「ゴルフトレンドライン」を考えている方は、「スバルの2.0i」にも試乗されることを願ってやまない。