形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

信州学生村(2)・スズメバチの襲撃

2009-08-17 09:39:15 | 昭和の頃

天竜川は農家から歩いて2、3分と近かった。 その石のゴロゴロする河原の
手前に、横に帯状に長い竹林があった。 その竹林で何に使おうとしたのか、
友達と竹をナタで切っていた。 竹は竹竿ほどの太さで、スコンッ スコンッと
小気味よく切れる。 二人で面白がって切っていたとき、 何やら低い唸り声の
ような音が聞こえ、見上げると、スズメバチの大群があたりを飛び交っていた。

私たちはわけもわからず、とっさにナタを投げ出して天竜川めがけて走った。
石で走りにくかったが、それどころではなく、川に飛び込んで潜った。
水の中から上を見ると、追ってきたスズメバチが何匹か、目の前の川面を
飛び回っていた。 息を殺して飛び去るのを待った。

すぐ岸に上がるのは危ないので、潜って川を下り、遠回りして帰った。
次の朝、オヤジさんと恐る恐るその場所に行ってみた。 
断崖の上から竹林の中に、パイプを乗せた急勾配の細い吊り橋がきている。
それを支える木で出来た、鳥居の形のようなものが、竹林の一角にあった。 
その横棒に、スズメバチが大きなボールのような巣を作っていたのだった。

ところがすでに巣は落ちて壊され、もぬけのカラだった。あたりには
花火が散乱していた。 オヤジさんの話だと、誰かが蜂の子を獲っていった
らしい。 私たちが竹を切っていたところからは、少し離れていたが、
竹林でガサガサやっていたので襲ってきたのだろう。

それまで山でスズメバチに刺されたことはなかった。 
おそらく標高の高いところが多かったからだと思う。 知らずに巣に近づいて、
斥候らしい2、3匹のハチに、体の近くを威嚇するように、低い羽音をたて
られながら、回られたことはあった。 そういうときは、もときた道をもどる
のが正しい。 ヘタなほうに逃げると巣に近づくからだ。

蜂に刺されたのは、子どもの頃に、ミツバチと足長バチに刺されたぐらい
だが、ミツバチは小さいが意外に痛く、皮膚に針を残していく。そのあと
死ぬと聞いた。

大スズメバチは、山歩きをしていると、たまに出っくわすことがあった。
ヤツは人間など、ものともせず、真正面から一直線に唸るような羽音を
立てて飛んできて、こちらが慌ててよけるほどだ。 シャクだが、人に
よけさせてそのまま飛んでいく。

形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/



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