形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

信州学生村(5)・終章、味噌汁

2009-08-14 22:52:27 | 昭和の頃

伊那谷のこの家では、普段の食事が出されたから、特別な料理は食べた
ことはなかった。 ただ、多忙の農繁期なので仕方ないのだが、参った
のはお昼ご飯だった。

農協で裸の10個詰めで売っていた、即席ラーメンを適当に煮て、
そこに魚肉ソーセージの輪切りを加えたものが、おかず兼汁物だった。
それだけでご飯を食べる。 私はこれとまったく同じものを、山で
しょっちゅう食べていた。 だから即席ラーメンも魚肉ソーセージも
食べ過ぎで、その匂いが鼻につき、食欲がガクンッと落ちる。
おまけにおばさんの水の目分量は、かなり適当で、いつも塩辛い
から、多量のお湯で薄めて食べていた。

ごちそうになった食事で忘れられないのは、夕食に出た、いろいろな野菜
を入れて作った味噌汁だった。 これはほんとうにうまかった。 
野菜の味噌汁など、東京でも普通に食べていたが、まったく別ものの
ようにうまく、学生たちの一番人気だった。

庭の隅に母屋の台所とは別に、囲炉裏のきってある小さな小屋があった。 
夕方、おばさんはすぐ近くの畑でいろいろな夏野菜を採ってきて、それを
囲炉裏の大鍋で煮て、自家製の信州味噌で作ってくれた。ナス、インゲン、
ニンジン、玉ねぎ、ゴボウなど、新鮮な野菜が混然と溶け合った、味噌汁
のうまさ!

夕暮れの、お腹が空いているときに、いい匂いが小屋のほうから漂ってくる。
私たちは、この味噌汁をとても楽しみにしていた。 沢山作ってくれたから、
何杯もおかわりした。 


あれから四十年の歳月が流れ、音信は絶えた。


読んでいただいてありがとう!


体のゆがみは、腰痛などの痛みや体調不良の大きな原因です。

形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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