Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§18「秘録 陸軍中野学校」 保坂昌彦 編, 2003.

2013-10-06 | Book Reviews
 1938年設立当時から極秘とされ、今もなおよく知られていない諜報や謀略に関する教育機関とされる陸軍中野学校。

 「諜報」とは、情勢を正確に掌握し、いかなる事態に遭遇しても素早く的確に判断することであり、「謀略」とは、偽の情報を流すことで、相手を混乱させること。

 1946年2月、ガダルカナル島に残された約1万人の兵を撤退させるために、敢えて攻撃と装い上陸させた援護部隊は第一次、第二次撤退を成功させたものの、もはや自らが撤退することは不可能な状況に追い込まれました。

 増援艦隊発見という偽の情報を流し、相手の主力部隊が眼をそらした隙に、援護部隊を含む約2,500名を救出した第三次撤退の奇跡の影には、相手の無線暗号を約半年にわたって解読し、相手になりすまして偽電文を打った中野学校出身者達の活躍はあまり知られていないとのことです。

 脈々とひそかに語り継がれる「謀略は誠なり」「功は語らず、語られず」という言葉の影には、戦わずして勝つことの先に、なにかしら、大切なことが隠れているような気がします。

初稿 2013/10/06
校正 2021/02/21,2022/05/01(写真変更)
写真 陸軍中野学校跡
撮影 2021/11/06(東京・中野)

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