Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§168「死の家の記録」ドストエフスキー, 1860.

2023-07-08 | Book Reviews
 ドストエフスキーが実際に経験した四年に亘る流刑生活を、もうひとりの人物が遺した手記の形式を通じて蘇らせる作品です。

「これまでに知られなかったぜんぜん新しい世界、ある種の事実の奇怪さ、亡びた人々に関するニ、三の特殊な観察、これらは強くわたしの心をひきつけたので、〜まず試みにニ、三の章を選び出してみよう。是非の判断は読者にお任せするとして・・・」(p.9)

 後の作品群で登場する人物が群像として迫って来る印象。誰が人として、つまり〈わたし〉として在るべき姿であるのか、在りのままの姿であるのか、それがそうであることとそうではないことを考えることを通じて、〈わたし〉という存在はいかなることかを問いかけているような気がします。

「わたしはまだ憎むべきものの間に喜ばしいものが潜んでいることを察しなかったのである」(p.68)

初稿 2023/07/08
写真 塔を仰ぐ群像※
注釈※)「雲」朝倉文夫, 1974.
撮影 2023/01/12(東京・浅草寺)

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