Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α30C「アン」朝倉響子, 1992.

2023-05-19 | Exhibition Reviews
 朝倉響子が創り出したパブリックアートは、いろんな名前でさまざまな街に設置されています。

 ひとつひとつの作品がもたらす印象もさることながら、ひとつひとつの作品とその名前を繋げて考えると、作者が意図したかどうかは別として、〈わたし〉の物語がそこに存在するような気がします。

 どこで生まれ、どこの学校を卒業して、どこに勤めているとかいう何処ぞの何某ではない、〈わたし〉とはいったい誰なのか?

 誰もが必ず経験する戸惑いや躊躇※1、心配や不安※2、問いかけと共感※3、そんな〈あなた〉を知った〈わたし〉※4が〈わたし〉であるということ。

 眼の前のアンは、そんな〈あなた〉を知った〈わたし〉が椅子から立ち上がり、どのような道を歩むにせよ、しっかり歩むためのブーツをまとってこう言っているような気がします。

"〈わたし〉が〈わたし〉で在り続ければ、なにがあっても大丈夫"

初稿 2023/05/19
写真「アン」朝倉響子, 1992.
撮影 2023/03/03(大阪・松原)
注釈
※1)α26C「セーラ」, 1999.
※2)α27C「ミシェル」, 1993.
※3)α28C「アンとミシェル」, 1993.
※4)α29C「ソフィー」, 1986.
コメント
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