Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α25B「ニケとニコラ」朝倉響子, 1986.

2023-03-17 | Exhibition Reviews
 お互いをしっかりと観ながら、穏やかな雰囲気を醸し出している「ニケとニコラ」。

「それ-なにそれ-あ、やっぱりね、あるいは、それ-どうして-ほらそうでしょ」※1

 そんな二人が何を話しているのだろうか、となぜかしら聴き耳を立てたくなるように、観ている〈わたし〉も気になってしまいます。

 ところで、眼前に広がる〈世界〉は、もしかしたら、〈わたし〉と〈あなた〉と〈それ以外〉の三人称に分かれるのかもしれません。

 眼前の「ニケとニコラ」はそんな三人称であるにせよ、〈わたし〉がそれはそうであると考えることで、〈彼女たち〉の物語を〈生成〉し、そしてそこに〈存在〉させているのかもしれません。

"〈あなた〉を知ることは〈わたし〉を知ること"

だからこそ、お互いをしっかりと観ることができるのかもしれません。

初稿 2023/03/17
写真「ニケとニコラ」朝倉響子, 1986.
撮影 2022/12/17(横浜・関内)
注釈 ※1)§163「残酷人生論」 池田晶子, 1998.