カリフォルニア徒然草 または武蔵国人覚書

ダンナの海外赴任のため、想定外のアメリカ暮らしを経験。
日常のふとした出来事を、心覚として綴っています。

眠らない街NY(5)FRBの金塊ツアー

2008-11-08 14:05:05 | 旅行:東海岸主要都市周遊
8月29日(金)、昨日とうって変わってどんよりした空模様。気温も低めです。
上着を引っ掛け、朝8時にホテルを出て、メトロでウォール街に向かいます。

J.P.モル○ンのビルの裏手にあるスタバで朝食をとっていると、スーツ姿の、
いかにも金融関係って感じの男女が次々にコーヒーをテイクアウトしていきます。
ちょうど朝の通勤時間帯ですものね。なんだか映画のワンシーンのようです。

9時過ぎ、スタバを出て向かったのは連邦準備銀行Federal Reserve Bank(FRB)
アメリカの金融市場をコントロールする中心機関です。
紙幣の供給管理と共に、外国から信託された金Goldを保管・供給する業務を行っていて、
その貯蔵量は世界一、地下金庫には約1500億ドル(!)もの金塊が保管されているという。
ここは現在、厳戒警備下にあるウォール街で数少ない、見学可能な公的機関なのです。
まずは記念撮影

NY連邦準備銀行の見学ツアーは1日5回(9:30、10:30、11:30、13:30、14:30、15:30)。
事前に電話かFAX、またはE-Mailで予約が必要です。
後日、ツアーの予約確認書兼入場券が郵送されてくるので、当日それを持参します。

入り口では、公的身分証明書(運転免許証やパスポート)を提示して本人確認、
空港並みの厳重さでX線の手荷物検査とセキュリティチェックを受けて、ようやく入場。
中に入るとロッカールームに案内され、手荷物や上着も全て預けさせられます。
当然、内部は写真撮影禁止。 
完全に手ぶらの状態になったら、見学者用のシールを渡されます。
それを胸に貼ったら、さあ見学ツアーの始まりです。

最初の部屋は、アメリカや外国の紙幣や貨幣についての展示室。
珍しいドル金貨や、日本のお金の展示もありましたよ。
そしてビデオや展示を見ながら、連邦準備銀行の組織や役割についての解説を聞きます。

この連邦準備銀行、よく“日本の日本銀行にあたる”と説明されますが、ちょっと違う。
アメリカで中央銀行にあたるのは連邦準備制度Federal Reserve System(FRS)で、
ワシントンD.C.に駐在する連邦準備制度理事会Federal Reserve Board(FRB)が、
全国の主要12都市に在る連邦準備銀行(こっちもFRB)を統括する組織となっています。

日本では 連邦準備制度(FRS)と理事会(FRB)はあまり区別されていないようで、
ニュースなどでは、まとめてFRBと呼ばれることが多いみたいです。

理事会は定期的に会合を開き、フェデラル・ファンド金利の誘導目標や公定歩合を決める。
これが連邦公開市場委員会Federal Open Market Committee(FOMC)です。
FOMCの議長は、理事会FRBの議長が務めます。
アメリカの金利を上げ下げを決定してるのは、理事会の方のFRBというころですね。

余談ですが、
連邦準備制度理事会のトップは、理事長ではなく議長Chairmanと呼ばれます。
2006年2月1日からはバーナンキ議長
前任のグリーンスパン氏(※)はつとに有名で、今でもよく名を耳にします。
1987年から2006年まで、米国史上前例のない5期もの長きに渡って議長を務め、
米国マスコミからも手腕を絶賛され、「金融の神様」などと呼ばれました。

連邦準備銀行のFRBは、公開市場操作以外の連邦準備制度の業務を行います。
市中銀行の監督と規制、また連邦準備券(ドル紙幣)の発行や廃棄を行うのもこちら。
D.C.で印刷された紙幣は、連邦準備銀行で登録処理されて初めて使用可能となります。
連邦準備銀行は、あくまでも、連邦準備理事会の下部組織ってことですね。

上記のように、連邦準備銀行はアメリカ国内に12もあるわけで、
例えばカリフォルニアのサンフランシスコにもあります。
ただし、前述の連邦公開市場委員会FOMCの議長はFRB議長が務めますが、
副議長はニューヨーク連銀総裁が担当することになっているんです。
よって、ここニューヨークの連銀FRBは、他の連銀とは別格と申せましょう。。。

というような薀蓄を聞かされるわけなんですが、
当然の事ながらすべて英語なので、その場では正直ほとんど分からなかった・・・
後でパンフレットを読み返して、初めて「そういうことだったのか」と理解した次第。

まあでも、このツアーの参加者みんな、目的は金塊とのご対面なわけで、
長々と説明を聞かされてる間、アメリカ人でもソワソワしてましたよ。

さあお待ちかね、いよいよ金塊とのご対面です。いざ金庫室へ!
エレベーターで一気に金庫室のある地下5階まで降ります。
薄暗い廊下の奥、
重厚な鉄格子の向こうが
金塊の眠る金庫室。
(訪れた時にはこの扉は開いてました)

[ツアーパンフレットより]

金庫室の入り口には、扉はありません。一見、ただの通路のようです。
高さ9ft、奥行き10ftの通路。
扉が無い様に見えますが、
その秘密は後述。

[ツアーパンフレットより]

その先が金庫室。鉄格子と金網で厳重に守られた保管庫の中。。。
本物のゴールドが高く積み上げられています。
[ツアーパンフレットより]

実際には、奥の方に空っぽの保管庫がいくつもありましたが、
入り口に一番近い部屋には金塊が山積みされていて、金網越しに金塊を引っ掻くこともできちゃいます。

金の延べ棒さわっちゃったよー

想像を絶する量の金塊を前に、度肝と毒気を抜かれ呆然としたような見学者達を前に、
係員が、セキュリティの厳重さや管理の厳正さ厳格さについて、やや得意気に説明します。

金庫室は地上から-80ft、海抜-50ftの深さ、マンハッタン島を支える岩盤上にあって、
金庫室自体とその保管する金塊の重さに耐え得るよう考慮されているのと同時に、
地下からの進入を防ぐ意味もあるんだ、とか。

金庫室の入り口の通路は、中央部分に90トンもの重さの円柱がセットされていて、
その一部分が開口部となっており、係員がハンドルを回すと左右に90度回って、
これ自体が扉の役目を果たすのだ、とか。(もう一度写真を見てみてください)

金庫室に降りるエレベーターは職員に遠隔操作されていて、中からは操作できないので、
部外者は勝手に侵入できないようになっているんだ、とか。
こちらは金を計測している様子。
あまりに重いため、水圧式の秤を使用します。
[ツアーパンフレットより]
なお計測する際には、万が一金塊を足に落とした時の用心として、
スリッパのような形をした、専用の金属製の足先カバーを装着するんだそうな。
この秤と足先カバーは保管庫内にあって、現物を見ることができます。

とまあ、こんな具合でして。
いやぁ、なんだか“金のちから”をこれでもかと見せつけられた気がしました。
英語が分からなくても充分楽しめます。

解説(自慢話?)が終わったら、全員金庫室から退去させられ、最初の部屋に戻っります
記念品をもらい、胸の見学者シールを回収されたら解散。
最後の最後まで、管理きっちりしてますね~
記念品はこちら、
シュレッダーされたお札です。

D.C.の印刷局でも
お土産として売ってたな~
あの時買わなくてよかった?!

さっさと退散してもいいんですが、この部屋にはお金についてのトリビアが並んでます。
意外に面白いので、時間があるならば是非ちゃんと見て欲しいと思います。

それともう一つ面白いのが、“偽札の見分け方”コーナー
本物の紙幣と偽札を並べて「ここの印刷がブレてる」とか「この文字が不鮮明だ」とか、
大人でも真剣に見入ってしまいます。

連邦準備銀行(FRB)の見学ツアー、金塊以外にも見所いっぱいで、お奨めですよ。
連邦準備銀行
Federal Reserve Bank
(FRB)


33 Liberty St.

※ホームページこちら


最新の画像もっと見る

コメントを投稿