序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第37回公演「スマイルマミー・アゲイン」物語紹介第四場ー2

2019-07-15 17:30:47 | 舞台写真
さて四場の続きでございます。
孝雄の仲介で柔らかな空気になった所に由美が帰ってきたものですから、土曜日の慰労会が由美のアルバイトしているおでん屋で行う事がトントンと決まりました。
そこへ三郎から由美に用事があるから待っていてくれとの電話が来ます。



恭子 「由美さん、やけに急いでいるわね」
テキパキと着替える。
由美 「そうなの、今日が君江の誕生日だからケーキを買って帰ろうと思って」
恭子 「ああ、そうなんだ」
範子 「由美さん、来週の土曜日なにか予定が入ってる?」
由美 「土曜日ですか。土曜日の何時頃でしょう」
恭子 「たぶん夕方から」
由美 「ああ、無理だわ」
電話。
範子 「はい、こちらあなたの暮らしをお助けする便利屋スマイルマミーでございます」
恭子 「そうか、君江ちゃんが居るからね」
範子 「なんだ、サブちゃん」       
由美 「そうじゃないんだけど・・」
範子 「どうしたの電話なんて珍しいわね。・・・・なに、はっきり言いなさいよ」
恭子 「サブちゃん?」
範子 「(頷き)・・・由美さん。居るわよ、代わる?・・・いいの。・・・そう言えばいいの。ちょっと待って。由美さん、サブちゃんがねここでちょっとだけ待っててくれないかって。いい?」
由美 「・・ええ、少しだけなら」
範子 「少しだけ待つって、早く来なさい。・・・ハイ、ハイ」
         受話器を置く。
範子 「飛んで来るって。何かしらね」
由美 「さあ・・」


クラクション。車走音
     表に気を取られる一同。
     息荒く紙袋を持った三郎が来る。
三郎 「ああ、居た!」
範子 「どうしたの、サブちゃん」
三郎 「えっ、いや。・・・由美さん」
由美 「なあに」
三郎 「これ」
三郎、由美に紙袋を渡す


由美 「どうしたの、これ」
三郎 「誕生日でしょ、娘さんの」
由美 「ケーキ?」
三郎 「うん。もっと早くに来ようと思ったんだけど、仕事が掛かっちゃってさ」
由美 「誰から聞いたの」


三郎 「・・余計な事したかな」
由美 「いいえ」
三郎 「じゃ、貰ってくれる」
由美 「ええ。ありがとう」
三郎 「どういたしまして」
由美 「じゃ、君江が待っているからこれ持って帰ります」
三郎 「ああ、そうだね」
範子 「由美さん、来週の土曜日オタフクよろしくね」
三郎 「エッ」
由美 「了解。じゃお先に」
恭子 「お疲れさん」


孝雄 「(小さく)送る」
三郎 「お、お、送って行こうか」
由美 「いいわよ」
孝雄 「信号まで」
三郎 「そう、し、し、信号まで」
由美 「ええ、それなら」

由美行く。しおらしく付いて行く三郎。

こんな甘ったるい中年男女の二人の世界見られたもんじゃありません。




恭子 「ああ、参った」
範子 「サブちゃんってそうだったの」
孝雄 「いや、僕もこの前に相談を受けて知ったんですけど、ここ何回か仕事が一緒になってから意識する様になったらしいんです」
恭子 「わたしも様子はおかしいと思っていたけど、いつもふざけているからまさか本気だなんて思わなかったわ」
範子 「あれは大分のぼせているね」


     三郎が夢遊病者の様に現れる。
     それを見て大爆笑。
三郎 「(我に帰り)・・なんだよ、何笑ってんだよ。何が可笑しいんだよ」
範子 「可笑しくない、可笑しくない」
    範子、茶の間に非難。それに続いて孝雄と恭子も。


三郎 「冗談じゃねえな、何だってんだよ。まったくよ」
     次第にニヤついていく三郎。

全く何歳になっても男と女の間柄は・・・
五場に続く

撮影鏡田伸幸


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