序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第38回公演「美代松物語」物語紹介5-3

2019-12-16 15:04:59 | 舞台写真
5場ー3
橋南青年部の盛り上がりの中、美千代にどうしても兄妹の間柄を知って貰いたい寛治は調査報告書を手に再び店に現れる。


美千代を店の外に呼び出し、その報告書を手渡そうとする。

貞二が後を追い現れ寛治に何しに来たかと問い詰める。

貞二 「オイ、権藤」
美千代 「あら、貞二さん」
寛治 「なんだ貞二。何か用か」
貞二 「寛治。おめえ、何が目当てだ」
寛治 「・・・なんだ、何の話だ。アア!」


貞二と寛治は深い因縁を持つ間柄であった。
若い頃は祭りなどで一緒に遊んでいた仲であった二人は、貞二の漁
師仲間の立浪の育夫が、権藤金融からの借金を返せない事から船
を取り上げられ自殺したことから袂を分かち敵同士の様になっていた
のであった。

その事は橋南地区の誰もが知るところであり、寛治が此処に足を踏
み入れる事は誰も歓迎しなかった。


その緊迫感に耐え切れず手を出した寛治に貞二が怒り、あわや乱闘となった時・・・

美千代 「アンタらあたしに恥をかかせようてえのかい!あたしんトコはね、美代松はね、楽しく酒を飲む所なんだ、それを仕切るのがこの美千代の役目なんだ。そのあたしの仕切りに従えないようなら、ウチに来なくて結構だ、とっとと帰っておくれ!」

美千代の強烈な啖呵に気圧され、争いは終わる。


金吾 「あんな事は酒の席じゃよくある事だ、忘れろ忘れ
ろ。今夜は前途洋々な俺達橋南青年部の門出の祝いの席だ
ぞ、すったら酸っぱい顔してたら成るものも成らねえぞ」


寛治はつくづく美千代と住む世界の違いを感じるのであった。
第六場に続く。
撮影鏡田伸幸


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